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誘導と選択

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始まりの紋章。
「剣」と「盾」。
27の宝石。

御伽噺に伝え聞いた、その大いなる戦乱の源。


誘導と選択


「さて、今日はこれぐらいにしましょう。」
 軍師が城主の少年―スウォンに言う。
 その日の雑務(書類に目を通したり、指示を出したり)、そして戦術の勉強(「どうするんですか?城が攻め落とされますよ」)。ノルマを全てこなすと、しばらく机にぐったりと突っ伏す。
ー毎日よくもまぁこんなに仕事を見つけてくるもんですね~……
 あくびを一つ。気が付けば、もう夕食には少し遅い時間になっていた。
「…レストランが空いてる時間までには終わりたかったのに…」
「あなたが手早く仕事を片付けてくださるなら、いくらでもレストランで食事が出来ますが。」
 軍師が皮肉で返す。少年は苦虫を噛み潰したような顔をした後、椅子に座ったまま伸びをした。
 執務室の椅子は高そうでふかふかしているのだが、いかんせんずっと座っていると腰が痛くなってくる。スウォンはいつか軍師にこれよりワンランク下げた硬い椅子を執務室においてもらおうと思っている。威厳を示すことよりもよっぽど腰が痛くなるほうが問題だった。
「シュウ、酒場は開いてるよね。」
「ええ、まだこれから盛り上がるくらいでしょうね。」
ーそっちで食べるかな―…
 書類をとんとんとまとめているシュウを横目に、スウォンは立ち上がった。椅子がきぃと小さく鳴る。それに気づいたシュウがスウォンの横に立ち、執務室の重いドアを開けてスウォンを通す。
「明日も仕事は山積みですので、今日はしっかりと体を休めてください。」
「今日はしごいてくれてありがとうございました。明日はもう一時間早く仕事を終えてみせますよ。」
「では、明日は今日の戦術のおさらいをしますので、しっかり復習してきてください。」
ー寝て欲しいのか寝て欲しくないのかはっきりせい。
 そう思いながらも、軍師が毎夜遅くまで様々な仕事をしていることを思うともう少し頼りになる城主になろうと思う。しかし、寝て起きるとまた忙しい一日が始まるので、はっきり言ってそう思ってはいてもなかなかうまくいかないのも現状だ。
「がんばれー自分。」
作品名:誘導と選択 作家名:きゅう