月色の狼
間の抜けた顔に再び嗤いが漏れる。
「ハハ、奇遇だね。同じ願望を持った奴が集まるなんてさ」
けれどね、と俺は続けてシズオへと歩み寄る。
「俺は君には殺されてあげない。俺は君が飢えて死んで土に還るまで君の傍を離れたりしないし、君に殺されて死んだりもしない。俺にはその自信がある。君の傍で、君が本当に消えて無くなるまで、君を見続けてあげる。
……そうだな、俺がもし約束を破ったら、その時はどこまでも追いかけてきて、俺のことを喰い千切っていいよ」
そういって俺が笑うと、シズオも俺を見て微笑った。
「お前、自分の言ってること矛盾だらけだって気づいてるか?」
「うん、でもいいじゃない」
俺たちの関係が、既に矛盾で満ち溢れているんだからさ。
(あ、シズちゃんが俺から離れようとしたって無駄だからね)
(なんでだよ)
(言ったでしょ?俺はシズちゃんが飢え死にするまで傍を離れないって)
(…………そうかよ)
よろしくね、シズちゃん。
作品名:月色の狼 作家名:みずき@ついったー廚