いつものこと、なのだけど、
「って、っていうかキミ気持ち悪いんだよなんだいその出て来かた!どっから出てきたんだいどうしてこんなところにいるのさわけがわからないよ!!」
「に、兄さんホテルで待っていてくれていたんじゃなかったのか、す、すまない、遅くなった夕飯にしよう、どこがいい?何にしよう」
くすくす、それに笑って、いや別にいいんだけどよ、と頭を撫でるもの、はァ?いい度胸だこの野郎言うに事欠いてそれかこのメタボ、と臨戦態勢になるもの。兄弟の兄はそれぞれだった。プロイセンは撫でていた弟の頭を少しくしゃくしゃ、とかきまぜてかっちりと、セットされた髪型を乱してケセセセセ、と笑った。おわったか?と聞く。ドイツはそれに、ああ、と照れくさそうに頷いた。それをアメリカが少し羨ましそうに見ている。イギリスは、大きなため息をついてそれに言った。っていうかあのホテルのビュッフェ、今美食フェアやってて食い放題なのに受付が二名からだとか抜かしやがる…ほら、行くぞ!
「あ、え…?ちょ、やめてくれよ引っ張らないでくれ!俺はちゃんと自分で歩けるんだぞ!!」
おーおー、行った行った。プロイセンがくつくつそれを見て笑った。ドイツはそれで、なんとなくわかったような気がしてずんずん歩いていく自分より小さな兄にぎゃあぎゃあ言いながらそれでも急ぎ足で付いていく友人の後ろ姿に苦笑した。よかったな、と思う。それに兄が行った。知ってるか?アイツ、どっかにGPS付いてんだぜ。
「は…?」
「アイツ。アメリカ」
「あ、いや、それはわかるのだが…」
そういうことではない。え、あ、イギリス…?という心境なのだ。
ドイツの兄はそれもわかっているというようにくすくす、笑ってまあ俺ならそんなのなくったってお前がどこにいるかなんてわかるけどな!と言った。それが少し嬉しくて、くすぐったくてドイツはほんのり頬を染めて笑った。確かに、今の己らには可能だと思ったが、それでも意識して探そうと思わなければならないことだったからだ。(恐らくしてくれたのだ。この兄は)(携帯は鳴らなかった。)
「おにーちゃんはなあ、待ちくたびれたんだよ」
プロイセンが苦笑して言う。
「トモダチと喋るのも大事だけどな?」
兄ちゃんも構ってくれ。広げられた腕に、おず、と収まる。プロイセンがくすくすと笑ってその腕を閉じた。おーおー、俺の弟は可愛いなあ!ケセセセセ、今も昔も変わらない、声で。
ドイツはほんの少しだけ勇気を出してみることにした。
「に、にいさん、」
「んー?」
「キ、キスしてくれ!」
「!」
この前は、驚いて突き飛ばしてしまって、それからまた触れるだけのものしかしてもらえなくなってしまった、それ。
もう今度は驚いて泣いたりしないから、と。兄の目を見て薄く口を、開けて。
「ッ…////」
プロイセンが、息をつめて赤くなった。
「?兄さん…?」
「それは部屋に、帰ってからな、」
「あ、ああ…/////」
ちゅっ、とその代わり、音を立てて一度とうわくちびる、したくちびるを一度ずつ同じもの啄ばまれてドイツも赤面した。恥ずかしい。言ってしまった。けれど、
(2時間半も話し合ったのだから、成果を見せないと)
ぎゅう、と自分からも抱きついて兄に好意を表した。
ケセセセ、といつもより少しくすぐったそうなプロイセンの声。
ドイツは満足した。
先に帰った、友人もこうであればいいと思う。
■或る大きな子どもたちの言い分。
某所で神が嘆いていらっしゃったので、弟組?というのに挑戦。
いや寧ろ『とは何ぞ…?』との実験。
今まで知らなかったこと知って、ほう、と思ったこと。
※アメリカ、と命名したのはドイツ
(Wikipedia項目;アメリカ合衆国:歴史:「新大陸」の「発見」より)
密かにメリカはそれでドイツに「America」と呼ばれるのが好きだといい。
あと、英米的的には、
米の英植民地の名前。ニューイングランド。
かわいいかった。
弟組、女神のために増えますようにと祈願致しまして。
作品名:いつものこと、なのだけど、 作家名:榊@スパークG51b