スレ獄スレツナ
だが、お前はダメツナを演じているんだよな?」
転入生が俺に聞く。
俺は軽く頷き、「何故そんな事を聞く?」と言った。
「ボスが演じているんだったら、俺も演じていた方が都合いいだろ?
敵や周りを油断させられるしな。」
冷静に言う転入生。
(確かに転入生が言う事も一理あるな…。)
俺はそう思い、再び転入生に質問をした。
「何を演じるんだ?
ダメツナのようなものは俺がやっているから、演じられないが?」
俺は不思議な顔をして聞く。
転入生は静かに言った。
「ならお前の言う事しか聞かねぇ馬鹿犬っていうのはどうだ?」
(ば、馬鹿犬…?)
俺は軽く動揺した。
だがすぐに納得しうなずいた。
「ダメツナに馬鹿犬か…
おもしろい、それはいいぞ。」
俺は笑ってしまった。
同じく転入生も笑みを浮かべていた。
「では、ファミリーの誓いを…」
転入生はそう言うと、俺の前にひざまずいた。
「俺は獄寺隼人。貴方の右腕となり、ファミリーと貴方の為に常に行動をします。」
転入生…もとい、獄寺隼人が手の甲にキスをする。
「俺は沢田綱吉。獄寺隼人を右腕とし、ファミリーと右腕の為を考え行動する。」
俺は獄寺隼人の手にキスを落とした。
「これで契約成立だな、沢田綱吉。」
獄寺隼人が言う。
俺はフルネームで言われるのに少しばかり違和感を感じたが、どう呼んでいいかよくわからなかったので何も言わなかった。
「ツナ~っと、あれ?獄寺?」
遠くから叫ぶ声が聞こえる。
「山本!部活は?」
いつものダメツナを再び演じる。そのギャップに少し獄寺隼人が笑った。
「何か中止になったんだっ
一緒に帰ろうぜ!」
山本が笑顔で言う。
「獄寺君、この人は野球部の山本武っていうんだっ」
俺が山本の紹介をする。
「よろしくな、転入生っ」
山本が手を差し延べる。
獄寺隼人はその手を振り払い、軽く睨みつけてこう言った。
「俺は馴れ合うつもりはねぇよ!…行きましょう、10代目!!」
俺の事を10代目と呼び、引っ張って行く。
(10代目、か…)
「おい、待ってくれよ!!」
山本の声が遠くなる。
獄寺隼人は静かにこう言った。
「10代目、裏切らないで下さいね」
何故か背筋が寒くなる。
俺はゆっくり頷き、目を伏せた。
…この時からだ。
俺の心の隅にあらぬ感情が生まれたのは。
これから俺達は様々な困難を乗り超えて、守護者を集めて試練を受ける。
まだ俺達の出会いは、ほんの始まりにすぎなかったのだ…
並中を卒業して、早一年。
俺は高校2年生になっていた。
高校生になってからはもうダメツナという仮面は捨てて、ボンゴレを継ぐために四苦八苦している。俺の能力に気付いた後のリボーンは、俺が高校になってすぐにイタリアに帰ってしまった。
「お前にはもう教える事なんてねぇ。立派なマフィアのボスになるんだな、ダメツナ。」
何て言う憎まれ口を叩きながら。
それから変わった事と言えば特に無く、守護者の皆と並中にいた時と同じように学校生活を送っている。
皆リボーンの計らいで同じ高校に入った。
そっちの方が何かと都合がいいから、と。
二章 高校生活
作品名:スレ獄スレツナ 作家名:獄寺百花@ついったん