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致死量までの毒。

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「That's worthy松永! ちょいと会社に手助けする事になったから、代わりに人を貸して欲しいと頼ませて貰ったぜ。それで少しだがsweet memoriesがある松永を拝借させて貰った訳で……」
「つまり、売られたと」
呆れたように言えば眼前に座ってる男は嬉しそうに目を細めた。
「masterpiece! それなら手っ取り早いな。とりあえず小十郎を補佐しろ松永」
「……というか、三好でもよかったではないか」
「ha? あんな奴使えるかよ。こっちだって考えた結果でてめぇを選んだんだからな」
どうやら反撃する余地とかはてんで残されていないらしい。
「はぁ……ならば仕方ない。私を好きに使うといい」
あんなにも爆走運転をされたのに酔いが僅かながら残っていて、一秒でも話を終わらせたく適当に返事をしていれば、片倉は病的なまでに深々と頭を主へと向けた直後、またも腕をひっ掴まれて移動させられる羽目となった。
「全く卿はなんで腕を掴むのかね!」
「てめぇが酔ってるから、転けねぇように気を使ってやってんだろうが!」
耳元で叫ばれて頭がぐわんぐわんと揺れる。しかし弱みを見せるのは気に食わなくて虚勢を張るのに徹した。
「私が酔っている? 卿は人を見る目がないね」
「…………そこまで言うなら酔ってる、って証明を見せてやる」
彼は口を吊り上げるような、決して上司には見せそうにない笑みを浮かべてから私をすぐ横の廊下へと押し付けてきた。
「卿は気でも狂った…………っん」
彼は目を見開いたまま、私へと口付けてきた。苦情の一言でも言ってやろうと開いたままの口腔には片倉の舌が蛇のように歯列へと絡まってくる。
「……っふぅ、あ、ぁ……っ、やめっ……」
開ききりも勿論閉じることもない唇から、自分のものとは思えない声が発せられていると思うと頬へ火照ってくるのを感じた。
「酒くせぇ。やっぱり飲んでるだろ」
片倉は勝ち誇ったような笑みを浮かべながら此方を見ていた。
作品名:致死量までの毒。 作家名:榛☻荊