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セイバーズに関するショートショートショート3編

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「そうだ、トーマ!」
「そんな大声で呼ばなくても聞こえている」
「外国の人は挨拶代りにキスするってホントか?」
 助手席に座るトーマが心底呆れかえった顔をしているのを見て、私は口癖を飲み込んだ。今はとりあえず、運転に集中しなくちゃ。後部座席から身を乗り出してきた大が「淑乃でもいいや。なぁ、ホントなのか?」とか言ってきたけどシカトをきめこんだ。
 だから苦々しい声で大に応えたのはトーマだった。
「……確かに、そういう習慣を持つ国もある」
「お前んとこは? イギリスだっけ、オーストラリアだっけ」
「オーストリアだ」
「そうか。あー、まあいいや。じゃ、トーマもフツーにキスしたことあんの?」
「だとしたら何なんだ」
「え、あー」
 ぴたりと、大の動きが止まる。
「だとしたら……なんかやだ」
 はぁ? と声がハモッて、一瞬トーマと目が合った。沈黙。仕方なく私が口を開いた。
「えーっと、大、それっていったい何に嫉妬してんのよ」
「な?」
 予想外の質問だったのか、トーマまでもが勢い良く私を振り返る。
「何にって……ん? トーマに? や、それはなんか違うような」
「ちがうのか」
 若干動揺したような声を上げたトーマにつられるように大も慌てた声になる。
「いや、ちょっと待て! 別に嫉妬なんかしてねぇ!」
「じゃあどうしてすぐに否定しないんだ!」
「淑乃てめー!」
「人の所為にするな!」
 ぎゃあぎゃあと騒がしくなった車内に、私は今度こそ口癖を吐き出した。
「……最悪なんですけど」