神様でもなんでもない。
……泉は優しすぎて、怖い。優しくされると、後が辛くなるから。其れが怖い。鼻が詰まったような声で云う浜田。泉は思う。 ……浜田は分かってんだ。物事に始まりがあれば終わりがあるのも。すぐそう云う風に考えちゃうバカな処も、弱い処も、本当は淋しがりな処も、オレが受け止めてやんなければ、他に誰が受けとめられんだろう。泉は、また困ったような笑みを浮かべ、はぁー、と溜息を吐くと、大丈夫だから、と云い、浜田の頭を撫でてやる。お前すぐ泣くなぁ…。そんなんじゃ頼りたい時に頼れねぇじゃねーかよ。オレが頼りたい時、頼れるようにお前はどっしり構えてろよ、バカっ。泉の言葉を聞くと、ちょっと治まってきていた涙を、また溢れさせながら、浜田は一所懸命首を縦に振った。泉は、そんな浜田の様子に辟易しながら、こりゃぁ自分も覚悟しておかねぇと、と出来ることなら永遠に来て欲しくない、”二人の最期”を思い浮かべる。己が神なら、どれだけ良かったろう……。そうして、こっそり、涙を一筋流すと、此れもまたこっそりと願った。
神様、願わくば死が二人を別つまで……。
(080815)
※お酒は二十歳になってから!
作品名:神様でもなんでもない。 作家名:Callas_ma