ひとつの願い
初めてにしては上出来ですよ、と苦笑混じりに労いの言葉をかける。
「ん・・・・でもこれって作るのに時間ばっか掛かるね。千匹も本当に作るの?」
「作るんです」
アキラは強く言った。
そんなアキラの様子を横目で見ながらほたるは折鶴を弄りながらふーんと漏らした。
「千羽までまだまだなんですからね。さ、どんどん作りますよ!」
「・・・・そだね」
内心速まったかも・・・と思いながらも自分と一緒に楽しそうに作業を続けるアキラを見るほたるの視線はとても優しげだった。
「千匹作り終わったらまた新しく千羽鶴折ろっか」
「無理しなくていいですよ」
後悔してるのが見え見えのほたるの提案に、アキラは笑いながら言った。
千羽折ったら再び千羽。
きっと二千羽作り終わってもほたるはまた千羽鶴を折ろうと言うだろう。
其れはつまり、一時だけでなく此れからもずっと一緒に居たい・・・と言う彼なりの願いの表れなのだろう。
『此れからも、ずっと一緒に・・・』
二人分の、ひとつの願い。