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涼の風吹く放課後 お試し版

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「な、何?」涼がすがるような目を俺に向ける。ごめん。俺はこれから君を傷つける。
「涼、お、俺とつきあってくれ。こ、恋してるんだ。」
 演技のつもりなのに、言葉にしてみようとすると、喉が思うように動かない。言葉にしてはいけないと、心の奥底がブレーキをかけようとする。しかし、とうとう言ってしまった。言ってしまうと、不思議と心が落ち着いてくる。教室中から「うぉ〜」「告白タ〜イム」「ひゅ〜」という無遠慮な声が沸き立つ。俺は涼を見つめながら、涼がきっぱりと俺の『告白』を拒否するのをじっと待った。
「勇…君…」
 涼はみるみる目に涙を溜める。そして、「ぺちっ」といういかにも痛くなさそうな音とともに俺を平手打ちし、涙を一筋流しながら教室から駆け出してしまった。
 拍子抜けして立ち尽くす俺。涼…その反応はかえってまずいよ…。
「おいおい彼氏、彼女を泣かすなよ」「追いかけてやれよ〜」囃し立てられる声のままに追いかけるのも癪だけど、放っておくわけにもいかない。自分の身から出た錆だ、自分の恥ならいくらでもかこう。周囲の何も目に入れずに、教室から駆け出した。

 階下の廊下ですぐあのふわりとした後ろ頭が駆けていくのを見た。俺は全力疾走で涼に追いすがり、「待ってくれ」と声をかけると、涼は体育館へとつなぐ外廊下のほうへ曲がってさらに逃げていく。短い階段を勢い付けて飛び降りて、そのまま涼の手を掴んで止めた。
「は、離せよ、なんでなんだよ。友達だって言ったじゃないか!」
 涼は涙目で手を振りほどこうとする。
「そうだ。涼はノンケで、男同士なんて興味ないんだ。」
 俺が答えると、涼はキッと見返す。
「じゃあ、もうそういう風に近づかないでよ!」
「すまん、実は…。ああすれば、涼はきっぱり付き合いを拒否して見せると思って。」
「拒否、したじゃないか! なんで追いかけてくるんだよ!」
「駄目なんだよあれじゃ! まるで女の子だろ!」
 びくっ、っと涼の体が震える。しまった。涼は自覚してないんだ…。つい女の子らしい仕種をしてしまっていることを。
「もう…嫌だよ…。新しい学校でも、初対面でも、こんな風に見られて…。」
「もう一度だ、涼。俺が追いかけていくから、教室に逃げ込んで、俺に『ホモは嫌いだ!』って言うんだ。」
「…。」
 しばらくうつむいた涼は、俺を見上げて答えた。