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涼の風吹く放課後 お試し版

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 他意はない、他意はないつもりだったんだけと、『イロンナコト』なんて自分で言った言葉にドキドキしてしまう。
「そうだね、勇。ありがとう。」
 柔道部の体験入部が終わってからというもの、ずっと辛そうな表情をしていた涼の表情がようやく和らいだ。入学の日から、いきなりいろんな事件があったけど、俺が助けになってやれればいいんだけどな。
「じゃあ、明日からも…部活動、一緒に回ってくれる?」
「ああ、俺からもお願いするよ。」
「よかった。じゃあ、明日ね。」
「ああ。」
 俺は自転車に乗り、手を振って、涼の家の玄関前を後にした。涼は、ずっと手を振って視界から消えるまで見守ってくれた。