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涼の風吹く放課後 お試し版

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 照明担当はしばらくあっけに取られていたが、打ち合わせでは数秒でスポットライトを消すことになっていたのをすっかり忘れていたらしく、十秒以上経ってから、ようやくライトが消えた。
 ライトが消えるまで、ずっと、唇を重ねたままだったが、涼は抵抗しなかった。ライトが消えて唇を離すと、少し、混乱した顔をしていた。
 しかし、釈明している時間もなかった。すぐにフィナーレの出演者紹介が始まり、主役紹介での斉藤君には喝采が、そして俺には罵声が送られた。ヒロインと、監督で二度紹介された涼は、二度とも大きな喝采を浴びて、満面の笑みで答えていた。

 結局、うちのクラスの劇は、生徒の投票では圧倒的な支持を集めた。しかし、教師陣の不興を買ったのか、最優秀に賞されはしなかった。ただ、もともと、うちの高校のクラス演劇はこういうものらしい。後々までの語り種にされる演劇は、ほぼどれも、最優秀は得ていない、ということだ。うちのクラスの劇も、「生徒投票トップ賞」というタイトルとともに、後々までの語り種にされるだろう、という評判を、担任が伝えてくれた。
 もっとも、涼がこの結果を喜んでいるどうかは、わからない。当の涼は、演劇発表が終了してすぐ、仕事に向かってしまったからだ。投票トップ賞を取ったことはメールしたが、それに対しても返事は返ってこなかった。
 結局、翌週に涼からの呼び出しメールをもらうまで、涼の気持ちを知る機会はなかった。