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乳帰る

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昼間の暑さを残した、湿度の高い夏の夜。


一護は回想していた。
あれは確か春、事故で死んだ女の子を除霊した帰り。
黒い装束を着た女が俺の手を縛り、隣前に刃を突きつけた。
その時、確か隣のサラリーマン風の霊はこんな感じのことを言ったと思う。
「い……嫌です、私は……まだ地獄へは行きなくない……!」

何の因果か死神になってもうそれなりの月日があったが、今この時ほど
先の霊の気持ちがわかる時はない。

と、一護は夏らしく布地が大胆にカットされている部屋着を着て、
自室にいるルキアを見てしみじみそう感じている。

「……その服どうした」
「ん、これか?夏はさすがに貴様の押入れは暑いのでな、丁度良い部屋着を持ってきて
おらぬので、貴様の妹御が快く貸してくれたのだ。涼しくて気に入っている」

柚子め、こんな時によけいなことをしやがって、とかなんで俺の押入れ?とか
いろいろツッコミたい点が山ほどあるが、それよりも小学5年生の服を
問題なく着こなすルキアもルキアだ。
一護は目の前にいる彼女を今一度観察する。

短めの青のショートパンツに、肩をヒモで結んであるタイプの薄手の白のノースリーブ。
そこから、色白な彼女の華奢な手足がいつもより大胆にすっと伸びている。
漆黒の髪に意志の強そうな大きな目、まあこう見てみると確かに彼女は
美少女の部類に入るだろう。

だが問題はここからだ。

薄手の上着にわずかな皴も作ることなき、よく言えばおしとやかな胸。
立てば垂直、寝れば水平、歩いても走っても己が胸邪魔にならず。

一護は別に、胸というものに特段の拘りはない。
ただ、まだこの「属性」に劣情をそそらせるほど開眼しているわけではないのだ、
いやそう信じたい。というか信じないと今やばい。

と、いろいろ思案してると、一護の隣にいつの間にか、ルキアが座っている。

「一護」
「な、なんだ」
「貴様に頼みがあるのだが……」

一瞬の間が空く。
一護には、それがとても長く感じる。
同時に彼をとりまく大きな霊圧の空気が変わる。
ルキア対策のために、彼は冷房を「最強」にし、室内を絶対零度まで冷やしている。
にもかかわらず一護の背中にじんわり、汗が流れる。

ルキアは下を向いている。その頬は少し赤い。
その雰囲気に思わず、一護の心拍数が上がる。
心の中で、「卍解卍解卍解卍解」と呪文のように唱えて、
己が煩悩をかき消そうとするがどうにも収まる気配がない。

もしかして、これが開眼……いやなに考えてるんだ俺、と
一護が一生懸命自分の理性と論議しているそのとき、

「兄上がどのような胸を所望するのか、聞いてくれないか」
「はぁ?」

思いっきり、肩透かしをくらった一護の肩から緊張がとける。
同時に、遠くより大いなる霊圧がずっこけるのを感じたような気がした。

「んなの、知らねえよ、直接聞けよ」
「そんなはしたない真似できるわけがないだろう!!愚か者!」

ちょっとがっかりを挟みつつも、夜中に男の部屋の押入れに
転がりこむのは愚かじゃないですかそうですか。
とにもかくにも今日卍解を発動するはめにならなくてよかった、と心より喜ぶ一護である。

「貴様ができぬと言うなら、仕方ない。恋次にでも……」

想像して頂きたい。
護廷十三番隊の隊長格である大の男二人が向かい合って
「あなたが好きなのは何カップ?」とサシで聞く様を。
この女は六番隊を破壊する気か。

「わっ、わーかった!わかった! おい、ちょっとここに座れ」

ルキアは一護の前に素直にちょこんと正座する。
まったく、白哉はこの女のどこがいいんだろうとか、
いつもこういう風にすればかわいいのにな、と一護は思うが心の中にしまっておく。

「あのな、ルキア。男にはそれぞれ定められた【属性】というのがあるんだ」
「属性?」
「そう、男にとって胸の【属性】は限りなく天命に近く、
何人たりとも変えることはできない。
男のDNAに太古の昔から深く深く刻まれているんだ、ここまではわかるな?」
「うむ」

何が、わかるな、だ俺。
というより自分は何てアホらしいことをクソ真面目に語ってるのだろう。
しかし、俺の命もかかっている、と一護も色々必死だ。
必死=「必」ず「死」ぬ。昔の人はうまい言葉を考えたものだと思う。
それはさておき、彼としてはここは何としても上手い具合に
説得して速やかに、しかるべき所に帰って頂きたい。

「そもそもお前なんで、いきなり胸を大きくするなんて思ったんだ?」
「それは……」
作品名:乳帰る 作家名:梶原