雨垂れ◆乾海
どんよりしていた空に嫌な予感がしていた。
降り出してきた雨に、やっぱりと慌てて走りだす。地面を打つ大粒の雨が買ったばかりの靴を濡らすのを感じて、海堂は眉間にしわを寄せた。
初めはぱらぱらと降っていた雨は一気に強さを増す。
夕方からの雨の確立は10%ほどでしょう、と言っていた天気予報氏の言葉を思い出して、あの嘘つき野郎と舌打ちする。
どこか雨宿りできる場所、と目に付いた画材屋の軒先に走り入る。
店内の入り口横の軒先は、まるで雨宿りのために作られたかのように軒が出っ張っていた。助かったと思いつつ、制服についた雨を手で払う。
雨は先程より強くなっていて、目の前の光景は白いレースのカーテンを引いたようにぼんやりグレーに染まっていた。地面を打つ雨がバシャバシャと飛沫をあげていた。