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一月

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「ごめん、ちょっと遅れた」
 オレが待ち合わせ場所に着いた時、阿部はぼうっと人の流れを眺めているとこだった。
 声を掛けると、少し眉間に皺を寄せてみせて
「すげえ寒ぃ、さっさと行くぞ」
 そう言って自分もその中に紛れていったから、オレはあわててその後を着いていった。


 正月も明けて三日、テレビもつまんないから自分の部屋のベッドでごろごろしてたら、阿部から電話が掛かって来た。
「あけましておめでとう」
 第一声がそれだったんだけど、正直阿部がおめでとうって言うのがなんか不思議で、ちょっと笑ってしまった。もちろん阿部から年賀状は着てて、もうおめでとうって言葉は貰ってたんだけど、直接阿部の口から聞くおめでとう、は、なんか少しおかしかった。
「あ、あけましておめでとう」
 オレも震える声を耐えて、そう伝えた。何笑ってんだよ、って怒られたけど、オレだって何がおかしいのかわかんないから、阿部に教えてあげられないし。
「水谷、正月何してた」
「えー、とくにこれといって何もしてないよ。寝正月かなー」
「初詣は行った?」
 初詣かー。行こうと思ったんだけど、寒いしめんどくさかったからな、
「まだ行ってないよ」
 と、伝えた。
「じゃあさ、明日行こうぜ」
 そしたら、すぐに阿部から初詣に誘われた。
 阿部から誘われるなんて珍しい。丁度、オレにも用事はなかったから
「うん、行く行く」
 オレはすぐにオーケーの返事をした。


 阿部とは神社の最寄り駅で待ち合わせをした。神社へと向かう商店街、三が日も過ぎてるけど、それでも人はまだそこそこいる。
「まだ結構人居るんだね」
 隣の阿部は、マフラーを口のあたりまでぐるぐる巻き付けている。
「元日なんかすげー人だから、オレは絶対行かない」
「たぶん、ここにいる人達みんながそう思ってんだよ」
 そう言って、二人で笑う。
 神社に近づくにつれて、出店がだんだんと増えてくる。それをのぞきながら歩けるのも、今日だからだ。初詣は、行けるならもちろん三が日のうちに行ったほうがいいんだろうけど、オレはこれくらいの人出で、出店を冷やかしながらのんびり歩くほうが好きだな。
「あ、たこ焼き食おう!」
 阿部の腕を引っぱり、たこ焼きの出店に駆け寄ろうとしたら、
「これからお参りすんのに今買ってどうすんだよ」
 と、反対の腕で引っぱり返された。阿部はバカだから、力の加減とかしないでオレのこと引っ張って、オレは勢いで阿部の胸にドンとぶつかってしまった。もちろん、すぐに離れたけど。
 新年早々ドキドキしてしまった。本当に阿部ってば嫌んなるな!

作品名:一月 作家名:ぺろ