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緊急指令!エドワード・エルリックを守れ!

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エドワードは抵抗に抵抗を重ねたが、「そんな抵抗口先だけでしょー?本当は大総統と結婚なんて嬉しーんだよねー」などとアルフォンスにからかわれ、それに対して顔から全身から赤に染めてしまえばもう抵抗すら照れ隠しにしか受け止められなくて。
そしてロイとの結婚式を挙げるという暴挙を身体をもって承諾させられてしまい……だか大々的に行うのだけは嫌だ、と最後の抵抗的に足掻きに足掻いた結果ささやかな身内だけの結婚披露の宴が秘密裏に挙行されることで一応両者の合意を得た。……秘密のはずだったのだがウエディングドレス姿のエドワードの写真は当然の如く新聞の一面にでかでかと掲載された。そう、新大総統ロイ・マスタングと元鋼の錬金術師エドワード・エルリックはここに永遠の愛を誓い合いましたなどというニュースは瞬く間に国中を駆け巡ってしまったのだ。

これにより、エドワードにつき纏う有象無象は解消かと思われた……のだが、そうは問屋が卸さなかった。
ブリックスの北壁に代表されるような堅牢な精神。
少数民族、イシュヴァールの民のように耐え忍ぶ心。
軍事政権下でも明るさを失わないまっすぐさ、などなど。どんな時もあきらめずに前に進む不屈の根性がアメストリスの国民性だ。

エドワードが結婚したくらいでは諦めるものなど誰一人としていなかった。

そう、そのエドワードの夫が現政権最高権力者であろうとも。
皆虎視眈々と狙い続けていたのだ。
むしろ、人妻って萌えるよね、と攻略に鼻息を荒くした面々が増えてしまったほどで……。
「アルフォンスぅ……」
恨みがましい目線をエドワードはアルフォンスに向けた。
「ちっとも状況改善してねえじゃねえかっ!!」
それどころか更に惨い。おかげでエドワードはこの大総統官邸から一歩も外へは出られなくなってしまった。官邸の中はまあ良いとして。官邸の壁の外には「エドワード・エルリックを愛でる会」などとののぼり旗を手にした一般市民というよりストーカーの皆様が徒党を組んで、まるで観光名所を訪れるかのような様相で官邸の壁の周りを取り囲んでいる毎日だ。
「あ、れー?」
さすがにアルフォンスも当てが外れたなあとわざとらしい笑みを浮かべていた。
ロイはロイで。
「そうか、やはりエドワードの保護条例は必要だということだな。良かろうっ!エドワードの身体に触れた者は禁固20年の刑に処す、これでどうだっ!」
などとぶつぶつ言いながら、その条例の文言を下書きしていた。
「ま、大総統に頑張ってもらうしかないかな。……ええとですね。自分の妻なら全力で守るくらいのことしてくださいね~」
「当然だっ!任せておきたまえっ!!」


まあ、話は元に戻っただけではあるのだが。
けれどロイにしてみればエドワードを自身の妻にできたという大きな幸せを手にしたのだ。
ここで力を尽くさねば男ではない。命をかけてエドワードを守れ、なのである。


エドワードは私だけのものだっ!!と雄叫びを上げながら条例の文言を練りまくる現大総統。……アメストリスの未来はかなりのんきだ。



- 終 -