二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

緊急指令!エドワード・エルリックを守れ!

INDEX|4ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 

少なくとも護衛官を引き連れて司令部を歩いている時に大総統であるロイを殴るわけにはいかないし、そうすれば余計に注目されるくらいまではエドワードにもわかっていた。だから、ぶつぶつと文句を言うだけにとどめたのだ。が、その文句も真っ赤な顔で言っているのであるからしてエドワードの内面がどうであろうと照れ隠しのようにしか見えないあたりが不幸だったと言うべきか。それともそう、時すでに遅しとの言葉通りだったのか。
エドワードと愛おしげに抱きかかえたロイと、その腕に中で真っ赤になりながら身を縮めているエドワードのツーショットの姿は大総統執務室から車までの道のりを行く間に公然と、もしくは隠し撮りで撮影されてしまったのだ。それが新聞記事へと掲載されるまでにはそう多くの時間は掛からない。もちろんエドワードの引っ越しを手配したのと同時に、ホークアイは新大総統に内縁の妻がいたとのゴシップ的な情報を各報道機関に匿名でリークしていたからでもあるのだが、そうでなくとも大量のエドワード・ストーカー達がこのような状況を見逃すわけはないのである。新大総統がエドワードを抱きかかえて自身の官邸に連れ込んだとの情報などあっという間に世間に広まった。そうしてエドワードとロイが司令部から大総統官邸へとたどり着いたその一時間後には。アメストリス全土中に「新大総統ロイ・マスタングついに結婚か!?」とのニュースやら号外やらが駆け巡ったというわけだった。


が、知らぬは本人たちばかりなり。それをエドワードが知るのはかなりの後のことだった。現在のエドワードはロイの寝室の、スプリングのきいたベッドの上でロイとの攻防に明け暮れている。
「や、やめ……ロイ離せって……」
「駄目、だ。君が結婚に承諾してくれるまで離すことはできないな……」
剥きだしの肌を嬲るように掌を這わせると、エドワードの薄く開いた口元から呻くような声が漏れた。エドワードの口がなんと言おうとその身体の奥にどん欲な快楽への欲求が潜んでいることをロイは知っている。いや、当然それをエドワードに教えこんだのはロイ自身であるのだが、単に快楽だけを求めているのではない。お互いがお互いに惚れきっているのだからこれは無理矢理の行為ではないのだ。嫌だというのはエドワードの照れ隠しに近いものでしかないとロイは認識している。その証拠にエドワードは本気でロイを否定などしては来ない。本気でエドワードがロイとの同居を拒むのであれば、大総統官邸や司令部など今頃見事に全壊だ。エドワードの錬金術をもってすればその程度の抵抗は簡単にできる。なのに後で殴るとは口では言っていたものの大人しくロイの腕の中に納まって官邸まで連れてこられたのだから、まあ、合意だ合意と、ロイはエドワードの身体に慣れ親しんだ快楽を送り込みながらエドワードの態度を勝手に解釈していた。まあ、こんなふうになし崩し的に結婚というのがエドワードにとって気に入らないことか、とも思うのだが。そこはそれ、ロイの方だとて本来なら同性婚許可の法改正を取り、エドワードに改めてプロポーズをし結婚式も大々的に挙げてから結婚生活に入りたいところだったのだ。私もこの点は譲るから君も譲歩し給え。と、まあロイはロイである意味勝手にというか己に都合よく論理を展開しつつも文字通りエドワードに本腰を入れていた。
「ん、んんんん……っ、あ……」
エドワードもエドワードで。なし崩し的に同居させられることへの拒否などはロイからの快楽によってすでに霧散しかかっていた。抵抗など口先だけのことで、身体はとっくにロイを受け入れて、自らロイの動きに合わせてすらりとした白い足を自らロイに絡ませているような状態だ。
「ほら、言いたまえよ」
「あ……な、に……」
ロイはエドワードの耳朶を柔らかく食みながら、緩急をつけて腰を揺らす。その度に震えるエドワードの身体を余すことなく貪って、そうして高めた熱をもって説得する。言葉よりも身体の方がエドワードは素直だから、このほうが手っ取り早いというのはロイの経験に裏打ちされた真理なのである。
「私と一生を共にすると誓って欲しい……」
思惑はどうであれ、ロイの言葉に嘘はない。
エドワードと結婚をして、そうしてエドワードを独り占めにすることなどもう何年も前から描いていた未来予想図だ。法改正→婚約→結婚というその予定が事実婚→法改正→正式な結婚に変化したところで何の問題もない。むしろ後者の方が手っ取り早いありがとうアルフォンス、という鼻歌交じりの浮かれた気分のロイなのだ。
愛していると言葉でも身体でも何度も何度も繰り返しエドワードを陥落させる。そのつもりで更にエドワードの熱を上げる。
「ん……ヤダ………」
「……却下だ。肯定の言葉以外は聞きたくはないのだよ……」
ぐっとひと際強く差し入れられたロイの熱に理性を飛ばされそうになりつつもエドワードは「嫌だ」と繰り返し言い続けた。
「私と暮らすのはそんなに嫌かね……」
ロイはため息とともに低い声を出す。その声があまりにも哀愁を帯びているように感じてエドワードは慌てて言葉を重ねる。
「ちが……うけど、こんななし崩しみたいなのはオレは嫌だ」
ロイのことは嫌いではない。というか寧ろ言葉で告げることはなかなか恥ずかしくて無理なのだが、それでも好きでなければこんな関係を長年続けているわけはない。離れることなどは考えてはいないのだがやはり常識的に考えれば大総統の恋人が男の自分であるのは問題だろうと思ってしまうエドワードで。誤解されるのは本意ではないのだが、ロイとの同居が嫌なのではなくて、寧ろそれは嬉しいと言えるのではあるがそれが表沙汰になるのが恥ずかしいだけなのだ。
秘密でいいんだよ。ロイがオレのこと好きでオレがロイのこと好きだってお互いわかってればそれだけでいーんだし……。それにロイと一緒に暮らす原因がなんか知らねえけど物好きがオレの周りに取り巻いている輩が多数いるなんていう外部的要因から派生したっつー理由なのもなんか嫌だ。もっとこう……。あるじゃねえか。べっつに女の子じゃねえから乙女チックにプロポーズとかんなことこれぽっちも考えてねえんだけど……ねえんだ、けど。なんか護衛のためだけに一緒に暮らせその方が身の安全だなんて。わかっていてもビミョーに引っかかりを覚えちまうって言うか……。
ぶつぶつとエドワードは小声でそんな言い訳のようなセリフを繰り広げていった。そしてロイはといえば端的にエドワードの言葉を解釈した。
「わかった。なし崩しが嫌だというのなら、早急に結婚式だけでも準備しよう。法改正も早急に行うから待ちたまえ」
「ちょ……冗談じゃねえヤメロ絶対ヤダっ」
なんでそーなるんだと怒鳴ろうとしたエドワードだったが今まで見たこともないほどのロイの真剣な表情に文句すら遮られた。
「本気も本気だ。一生かけて幸せにする」
結婚式なんてじょーだんじゃねえ!と上げようとした声はロイの唇によってふさがれてしまった。声だけでなくすべての抵抗できなくなって……結果はまあ、言わずもがな、なのである。