Aの憂鬱
移動中に時々何かぶつぶつ呟きながらメモしてる。何やってるんだろう。隙を見てメモを覗き込む。
年齢差は5歳・幼馴染「?」なんじゃこりゃ。さっと隠される。隠されると余計気になる。
そのうち何か隠れてごそごそやりだしたが仕事に差し支えなければいいかと放っておいた。
それが後に災難となって降りかかるとは知らずに。
隠れて何かしてるなと思ったらある日お手製の本を作って満足そうにしてる。
「何それ。」嫌な感じがして触りたくない。
「読むか?」
「だから何それ。」
「見ての通りの本だ。」中身が問題なんだよ。
「人に読ませられるようなものなの?」
「きみにしか見せられない。」
「えー。何書いたんだよ。」怪しい。
「ちょっとこうだったらなぁと言う希望を。」
「固有名詞使ってるのか?」
「勿論だ。」
「…燃やした方が良くないか。誰かに見られたら大変。」「折角書いたのに。」ぶつぶつ言ってる。
「燃やして良いなら読んでもいいけど。」
怪しげな不陰気満載で出来れば触れたくない。
「読んでくれないなら読んでもらえるまで書くぞ。」
「そんな暇あるの?」
「かまってもらえない時間つぶしに丁度良い。」
それで最近大人しかったのか…ただでも妄想入ってるのに磨きがかかると後が怖い。
仕事が忙しくなればそんなお遊びも修まるかもしれないが忘れた頃に少しずつ物が増えてくのは嫌だな。
「おれ小説類は読むの苦手だぞ。疲れるんだ。」
書類読むほうがずっと楽。多少中身の予測が出来るだけに余計気が進まない。
中身確認しないで即燃やしてしまいたいぐらいだ。どう言うつもりで読ませたいんだろ。
「では読んであげよう。」
「音読されるぐらいなら読んだほうがましだ。」
どんな羞恥プレイだよ。
「折角可愛く書けたんだからぜひ読んで欲しい。」
可愛くって時点ですでに妄想だ…
これ読むって事がすでに羞恥プレイ?まあ不満があるからこんなもの作ったんだろうけど。
なんか機嫌良さそうに見ないで欲しい…
「ちょっとお茶入れてくる。」
いざとなったらお茶溢してやろう。
茶を持ってくると本が見当たらない。察して隠したか…。
飲み終るのを見計らって背中から出してくる。
「何処から読んであげようか」と捲りだす。
音読されたら目も当てられない。耳栓してくれば良かった。
「本当にしつこいね。あなたは。」
「きみ相手だとなかなか反応してくれないから自然こうなる。」
1回読めば気が済むかな?斜めにざっと読んで誤魔化そう。
「貸しなよ。」
大人しく寄こす。見たところ装丁も手作りか?
じっくり読む気はないのでぱらぱら捲って斜め読み。
話は意外にも子供の頃から始まって…5歳違いの幼馴染ってこういう事?
「ショタコン…」
「児童虐待…」
「拉致監禁。」あーこの辺は変わらないか。
「頭痛くなってきた…」どの辺が希望なんだ?うーん。
「続く?他にもあるの?」読まなきゃ回収できないのか?
「今のところ製本してあるのはあと一冊。」
そんな時間あったっけ?何そんなに書く事あるんだろ
「これは読み終わったから処分して良いか?」
「感想は?」
「さっき言った。」あれ以上ないぞ。
「それより何が希望なのかわからないんだけど。」
何のために書いてるんだ?
「子供の頃から全部知りたかった。独占したい。」
そう言う希望?
「遠慮します。」
「何故。」
「子供の頃から見張られるのは嫌だ。」
どうせ口煩いだろうし。
「見守るつもりだが。」
「子供って大人の顔色伺うんだよね。無意識に親が望むことをするように動くんだって。声色で察して。あなたならやりそう。」
「多少は誘導するかもしれないが。」
「歪んだらどうする?」
「それは責任とって一生面倒見るぞ。」
そう言う長期計画は要らない…
「ご近所じゃなくて良かった…」そんな世界は怖すぎる。
「わたしは只子供の頃から一緒に居たかっただけなんだが。」
「だけ?」
あれだけ好きかってやって「だけ」は無いだろう。
「とにかくこれは処分するから。」
文句言われても聞きません。
「他のも一緒に処分するから出して。」
「どうしても?」
「万が一人目についたら大変だ。残したいなら名前を変えろ。あとおれもう読まないから。」
斜め読みでも十分疲れる…
「ではせめてこれを読んでくれ。」ともう一冊出してくる。
「えー。」そんな元気ないけど。
でも後で読むのはもっと疲れるか。毒を食らわば皿までという気持ちで手に取る。
受け取ってぱらぱらとめくる。さっきの本の続きかと思ったら違う。
偉く散文的な文。中身は意味もなくベッドシーンばかり。うーん。眉と目が一直線になってしまう。
反応を期待してるのかニコニコして見てる。
期待されても赤面する前に他の事に気をとられる。
何か引っかかるんだけど。日付?
えーとこの日付は…うーん。うーん。やや暫く考える…
あ!あれか!って…。他のページも見直す。後ろの方を見て確信する。
反射的に本を破く。真っ二つ。続いて細切れ。残ってる方をシャアが大事そうに引き寄せる。
「あなたね…」
「酷いな。」
「どっちが酷いんだよ。これまんまじゃないか。」
「覚書だ。」
そんなもの書く必要ないだろう。睨んで残りをひったくり破り捨てる。
「良くわかったな。」
「日付が無きゃわからなかったよ。悪趣味な。」
「憶えてたのか。」と嬉しそうに言う。
「最初と最後ぐらいはね。」
痛む頭を押さえて掃除機を動かす。色んな意味で頭が痛い。
「実体験を基に書くのが楽しい。」
「どあほう!」クッションを投げつけて薬を飲みにキッチンに向かう。
あーもう!もう…。頭働かないんで何か入れよう。
甘いものにしようかいっそ酒でも飲もうか…酒飲んで直ぐ寝たいぐらいだ。
勿論その場合は寝室から締め出しだ。
そう言うわけにも行かないよなぁ…どっと疲れた。
蜂蜜とお茶を混ぜてちびちび飲む。効き目はありそうだけど美味しくない。
「大丈夫か?」
顔覗かせて聞いてくる。返事はしないで睨む。
「そんなに怒らなくてもいいじゃないか。構ってくれないのが悪い。」
「頭痛いから言い争いたく無い。」
早く薬効いてくれないかな…シンクに寄りかかってちまちま飲んでると
「何でそんな顔して飲んでるんだ?」
「美味しくないから。」
「美味しいのを飲めばいいだろう?」
「気合入れるのに効き目重視なのにしたんだ。」
「気合入れる必要があるのか?」
「これも直ぐ処分しないと。」もう一冊を出す。
オーブンに入れるのは危ないか。生ゴミ処理機も駄目か。
書斎に重要書類の処分用の機械があったな。瞬時に分解。
「そんなに急いで処分しなくても。」
何言ってやがる。
「データもよこせ。」
「途中なのは良いだろう?」
「まだ書くのか?」
「中途半端は嫌いだ。それに楽しい。」
あんたは楽しいだろうよ…
「そんな事言ってまだまだ書きたいものができたとか言うんだろ。きりが無いから駄目。」
「横暴。」
「かってに人の名前使って怪しげなもの書くからだろ。そんなに書きたかったら名前変えろ。後ばれたらどうなるかわかってるんだろうね。」死んでもらうぞ。
「ちゃんとペンネームも考えたぞ。」
年齢差は5歳・幼馴染「?」なんじゃこりゃ。さっと隠される。隠されると余計気になる。
そのうち何か隠れてごそごそやりだしたが仕事に差し支えなければいいかと放っておいた。
それが後に災難となって降りかかるとは知らずに。
隠れて何かしてるなと思ったらある日お手製の本を作って満足そうにしてる。
「何それ。」嫌な感じがして触りたくない。
「読むか?」
「だから何それ。」
「見ての通りの本だ。」中身が問題なんだよ。
「人に読ませられるようなものなの?」
「きみにしか見せられない。」
「えー。何書いたんだよ。」怪しい。
「ちょっとこうだったらなぁと言う希望を。」
「固有名詞使ってるのか?」
「勿論だ。」
「…燃やした方が良くないか。誰かに見られたら大変。」「折角書いたのに。」ぶつぶつ言ってる。
「燃やして良いなら読んでもいいけど。」
怪しげな不陰気満載で出来れば触れたくない。
「読んでくれないなら読んでもらえるまで書くぞ。」
「そんな暇あるの?」
「かまってもらえない時間つぶしに丁度良い。」
それで最近大人しかったのか…ただでも妄想入ってるのに磨きがかかると後が怖い。
仕事が忙しくなればそんなお遊びも修まるかもしれないが忘れた頃に少しずつ物が増えてくのは嫌だな。
「おれ小説類は読むの苦手だぞ。疲れるんだ。」
書類読むほうがずっと楽。多少中身の予測が出来るだけに余計気が進まない。
中身確認しないで即燃やしてしまいたいぐらいだ。どう言うつもりで読ませたいんだろ。
「では読んであげよう。」
「音読されるぐらいなら読んだほうがましだ。」
どんな羞恥プレイだよ。
「折角可愛く書けたんだからぜひ読んで欲しい。」
可愛くって時点ですでに妄想だ…
これ読むって事がすでに羞恥プレイ?まあ不満があるからこんなもの作ったんだろうけど。
なんか機嫌良さそうに見ないで欲しい…
「ちょっとお茶入れてくる。」
いざとなったらお茶溢してやろう。
茶を持ってくると本が見当たらない。察して隠したか…。
飲み終るのを見計らって背中から出してくる。
「何処から読んであげようか」と捲りだす。
音読されたら目も当てられない。耳栓してくれば良かった。
「本当にしつこいね。あなたは。」
「きみ相手だとなかなか反応してくれないから自然こうなる。」
1回読めば気が済むかな?斜めにざっと読んで誤魔化そう。
「貸しなよ。」
大人しく寄こす。見たところ装丁も手作りか?
じっくり読む気はないのでぱらぱら捲って斜め読み。
話は意外にも子供の頃から始まって…5歳違いの幼馴染ってこういう事?
「ショタコン…」
「児童虐待…」
「拉致監禁。」あーこの辺は変わらないか。
「頭痛くなってきた…」どの辺が希望なんだ?うーん。
「続く?他にもあるの?」読まなきゃ回収できないのか?
「今のところ製本してあるのはあと一冊。」
そんな時間あったっけ?何そんなに書く事あるんだろ
「これは読み終わったから処分して良いか?」
「感想は?」
「さっき言った。」あれ以上ないぞ。
「それより何が希望なのかわからないんだけど。」
何のために書いてるんだ?
「子供の頃から全部知りたかった。独占したい。」
そう言う希望?
「遠慮します。」
「何故。」
「子供の頃から見張られるのは嫌だ。」
どうせ口煩いだろうし。
「見守るつもりだが。」
「子供って大人の顔色伺うんだよね。無意識に親が望むことをするように動くんだって。声色で察して。あなたならやりそう。」
「多少は誘導するかもしれないが。」
「歪んだらどうする?」
「それは責任とって一生面倒見るぞ。」
そう言う長期計画は要らない…
「ご近所じゃなくて良かった…」そんな世界は怖すぎる。
「わたしは只子供の頃から一緒に居たかっただけなんだが。」
「だけ?」
あれだけ好きかってやって「だけ」は無いだろう。
「とにかくこれは処分するから。」
文句言われても聞きません。
「他のも一緒に処分するから出して。」
「どうしても?」
「万が一人目についたら大変だ。残したいなら名前を変えろ。あとおれもう読まないから。」
斜め読みでも十分疲れる…
「ではせめてこれを読んでくれ。」ともう一冊出してくる。
「えー。」そんな元気ないけど。
でも後で読むのはもっと疲れるか。毒を食らわば皿までという気持ちで手に取る。
受け取ってぱらぱらとめくる。さっきの本の続きかと思ったら違う。
偉く散文的な文。中身は意味もなくベッドシーンばかり。うーん。眉と目が一直線になってしまう。
反応を期待してるのかニコニコして見てる。
期待されても赤面する前に他の事に気をとられる。
何か引っかかるんだけど。日付?
えーとこの日付は…うーん。うーん。やや暫く考える…
あ!あれか!って…。他のページも見直す。後ろの方を見て確信する。
反射的に本を破く。真っ二つ。続いて細切れ。残ってる方をシャアが大事そうに引き寄せる。
「あなたね…」
「酷いな。」
「どっちが酷いんだよ。これまんまじゃないか。」
「覚書だ。」
そんなもの書く必要ないだろう。睨んで残りをひったくり破り捨てる。
「良くわかったな。」
「日付が無きゃわからなかったよ。悪趣味な。」
「憶えてたのか。」と嬉しそうに言う。
「最初と最後ぐらいはね。」
痛む頭を押さえて掃除機を動かす。色んな意味で頭が痛い。
「実体験を基に書くのが楽しい。」
「どあほう!」クッションを投げつけて薬を飲みにキッチンに向かう。
あーもう!もう…。頭働かないんで何か入れよう。
甘いものにしようかいっそ酒でも飲もうか…酒飲んで直ぐ寝たいぐらいだ。
勿論その場合は寝室から締め出しだ。
そう言うわけにも行かないよなぁ…どっと疲れた。
蜂蜜とお茶を混ぜてちびちび飲む。効き目はありそうだけど美味しくない。
「大丈夫か?」
顔覗かせて聞いてくる。返事はしないで睨む。
「そんなに怒らなくてもいいじゃないか。構ってくれないのが悪い。」
「頭痛いから言い争いたく無い。」
早く薬効いてくれないかな…シンクに寄りかかってちまちま飲んでると
「何でそんな顔して飲んでるんだ?」
「美味しくないから。」
「美味しいのを飲めばいいだろう?」
「気合入れるのに効き目重視なのにしたんだ。」
「気合入れる必要があるのか?」
「これも直ぐ処分しないと。」もう一冊を出す。
オーブンに入れるのは危ないか。生ゴミ処理機も駄目か。
書斎に重要書類の処分用の機械があったな。瞬時に分解。
「そんなに急いで処分しなくても。」
何言ってやがる。
「データもよこせ。」
「途中なのは良いだろう?」
「まだ書くのか?」
「中途半端は嫌いだ。それに楽しい。」
あんたは楽しいだろうよ…
「そんな事言ってまだまだ書きたいものができたとか言うんだろ。きりが無いから駄目。」
「横暴。」
「かってに人の名前使って怪しげなもの書くからだろ。そんなに書きたかったら名前変えろ。後ばれたらどうなるかわかってるんだろうね。」死んでもらうぞ。
「ちゃんとペンネームも考えたぞ。」