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Aの憂鬱

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「…どうせ数字の5を捩ってんだろ。」
「良くわかったな。」
「止めろ。殴りたくなるから。」
「折角趣味が出来たのに。」睨みつける。

「悪趣味って言うんだ。」
「人の趣味にけち付けるのは感心しないな。」
「おれに迷惑かからなきゃ言わないぞ。」
「迷惑かかるのか?」

「迷惑と言うのとは少し違うけど。勝手に妄想されても困る。」
「そう言われてもきみを見ると色々浮かぶ。」
「何で本人がいるのに色々浮かぶのか訳わからない。」
「それはわたしにだけ見せてくれる顔をもっと見たいという…。」どんな顔だか聞きたく無いな…

「あなたが満足するまでやってたら身が持たない。」
「なら妄想するぐらい良いだろう?」ぐらいってねぇ…
「そりゃ頭の中だけでするなら問題無いだろうけどデータに残してるじゃないか。」
問題無いと言うより犯罪じゃないと言う方が正しいのかな?

「外に出なきゃ問題ない。」
「何言ってる。データになってる時点で何時流失しても不思議じゃないぞ。そんなもん流失してみろ。」
何か色々考えてる様子。よし。もう一押し。
「あなた誰にも見せない顔とやらを衆目にさらす気?」

「映像じゃないしきみの可愛らしさは想像を絶する。」
「何それ。世の中妄想するのは自分だけだと思うなよ。」
ほかの人のはともかく身近に妄想されると無視できないものがある。妄想だけじゃないならなおさらだ。

「他のやつのネタになるのか。それは許せん。」
ちょっと考えると気持ち悪いが…。まあ目の前の男が一番酷いだろうから考えないことにする。
「そう思うんならデータ消せよ。」
「そうだな。手書きにしよう。」

「まだやるの?」
「書きかけを終わらせないと気持ち悪い。」
「じゃそれ終わったらもう止めてくれるのか?」
「勝手に湧いてくるんだが…。書き終わったのは破棄してもいいぞ。」
書いた事でガス抜きになるのかな。気が変わらないうちにデータを出させよう。

「じゃこれのデータ出して。一緒に処分する。」
「ちょっと書き足したいのだが。」
粘るなぁ。
「良いけど。これは今処分するから。気が済んだらちゃんと出して。」
「信用無いな。」
なんだかんだ何時までも直しそうだ…。データが問題なんだけど。

書斎にもって行って本を処分する。なんかほっとする。頭の中のことまで面倒見られない。
データどうやって出させよう。だんだん面倒になってきた。
いっそPCごと始末したい。機密事項満載でなければなぁ。

薬なかなか効かないのかまだ頭が痛い。もう寝てしまいたいが…
「本当に処分してしまったんだな…」
「文句あるの?どうせ頭の中に入ってるんだろ。本なんか作らなくても。」

「目の前で処分されると嫌な気分だ。」
「あんなもん読まされたほうが嫌な気分だよ。」
「何か間違えてたか?反応はそのままに書いてるぞ。」一瞬殺気立ってつい銃を探してしまう。

銃が無い変わりに身近にあるものを掴んで投げつける。慌てて避けやがった。
「避けるな!」
狙いを定めて他のものを投げつけようとすると
「落ち着け。顔狙ってるぞ。」

「それがどうした!」
「ナナイに怒られるぞ!」
「あんたも一緒に怒られれば良いだけだ。」
「一緒は良いが怒られるのは嫌だぞ。」贅沢言うな。

「そう…おれのために怒られてくれないんだ…。」
狙いを定めて投げつける。ものの割れる音で手が止まる。われながら貧乏性。

頭痛が治まらないので
「片付け任せた。」よれよれ部屋を出る。
もう相手するの嫌になってベッドに潜って丸くなる。ああ…血圧が上がってるのかなぁ。

片付け終ってシャアが枕元に来た。
「大丈夫か?」
「頭痛い。」どうせ何言っても止めないんだろうな…
「データは残すなよ。」
「そうだな。」

本当に?残るは神頼みか?さすがにセイラさんには言えない。効果抜群だと思うけど。
とにかく疲れたのと頭が痛いのとで体ごと丸くなって眠くなるのを待っていると毛布をかけてくれる。
「暖めた方がいいのか?」
「良くわからないけど多分。」
毛布はありがたいけど話しかけてこないで欲しい。

薬が効いてきたのかいつの間にか寝ていた。目覚めはすっきり。
で寝返りを打つとシャアは隣でもうおきてる。
「何やってるの?」
「きみが起きるまでの暇つぶしを。」

枕をクッション代わりに背をもたれて膝に台の変わりに本を置いて紙に何か書いている。
思わず跳ね起きる。
「何書いてる?」
「だから暇つぶし。」
一枚ひったくると絵が描かれてた。

簡単なスケッチ。割と上手だと思う。
「絵なんか描いたんだ…」
「たまに。絵が描けると結構便利だ。」
そうだろうな…。情報を伝えやすい…。

「今度挿絵も描いて…。」みなまで聞かずに枕をぶつける。
まだ言うか。

さっさとベッドを降りてシャワーを浴びながら己の精神衛生のために無視すべきなんだろうか。
殴っても止めさすべきなんだろうか…泣き落としの方が効果があるだろうか…と考える。
このままでは病気になりそう。本当に病気になったら止めるかもしれないけどそれまで待つのもなぁ。
いや。胃潰瘍とか脳溢血とかなら直ぐなるかも…

髪を拭きながら猫に餌をあげていると
「具合は良いのか?」と聞かれる。
「…今はね。」でも直ぐ悪くなりそうだ。
タオルで髪をがしっともみくちゃにされ椅子に座らされる。後ろからドライヤーで乾かしてくれる。

「濡れてる時は癖毛のままだな。」
「染めてる所為で大分髪質変わったけど。」
そろそろまた染めないと。
「あなたもそろそろ切らなきゃ。」
「そうか?」
「前髪が目にかかってきた。」目が隠れるのは嫌いだ。
この目を見てると碌でもない事考えてるとはとても思えない。得だよなぁ。


着替えに寝室に戻るとサイドテーブルにさっき書いてた絵が本に挟まれてた。
手にとってじっくり観る。確かに文字より絵のほうが伝わるものが多い。

ただ寝顔を描いてる絵。書き手の感情が表れててなんとも気恥ずかしい。
幸せそうに見える。なおさら人目にされされるのはごめんだ。

「気に入ったか?」
「上手だね。」
「そうでもないと思うが。」

「あなた本当にこういう個人的なものを人目にさらしたいのか?」
「きみの可愛らしさを主張したいと言う気はある。」
しなくて良いぞ。 

「おれはプライバシーを侵害されるのは嫌だ。」
「似たような話は世の中に蔓延してるぞ。」
それも嫌だがそれは仕方が無い事だ。一種スキャンダルだからな。

「他はともかくあなたが書いてるのが嫌なんだよ。」
「本当にそんなに嫌なのか?」
無言で蹴飛ばす。昨日の騒ぎをなんだと思ってる!
また頭が痛くなってきた。

薬を飲んでると
「きみがもっとかまってくれれば暇つぶししなくて良いんだが。」とのたまう。
「あなたそんなに人を病気にしたいのか?」と睨む。
「わたしだって我慢してる。これが一番気晴らしになるんだ。」

「ちょっと酷くない?」
「本心を言うとさっさと逃げてきみと何処かに篭りたい。」
言い切られてもなぁ…。体力と気力どっちを取るかと言う事かよ。
うーん。額に皺を通り越して眉も目も一直線になる。

「アムロ。そんな顔してると人相悪くなるぞ。」
誰の所為だと思ってやがる。
作品名:Aの憂鬱 作家名:ぼの