[*BL] CSIパロ
<諸注意>
・海外ドラマCSI科学捜査班のパロディです。
・といってもあんまりCSI要素ない残念な感じ
・米英、仏←加前提の仏英
・ヘタで文章書くの初めてなので色々怪しいところが多々多々・・・・
それでもOKという心優しいお方向けとなっております^^
職場恋愛は禁止。
付き合っている当時は、業務に支障をきたさなければ構わないと思っていたが今は違う。
職場恋愛はしないにこした事はない。
付き合い続けるのなら問題はないだろうが、人と人はいつか別れるものだ。
分かれた後に元恋人と、何事もなく顔を合わせて仕事ができるか?
俺の答えはNOだ。向こうは何とも思っていないかもしれないが、正直こちらは気まずい。
お互いの、本当にプライベートな所まで知っている相手との仕事なんて気まずい以外の
何者でもないのだ。
しかしあいつは万年人手不足のこの職場にいてもらわければならない人物だし、
何より俺もあいつも今の職場が気に入っていて離れるなんて出来なかった。
だから俺達・・・俺とフランシスは別れた今でも毎日のように顔を合わせている。
職場恋愛は禁止、それは偉大なる先人の忠告だったのだ。
その言葉の偉大さに気づいたときには、もう遅かった。
そろそろ分析結果が出るころだろうと、DNAラボに向かう道を歩く。
この道筋を歩く時は、いつも小さな憂鬱と一緒だった。
全面ガラス張りのラボブースが並ぶ廊下を歩けば、俺の姿を見つけたある者は
笑顔で、またある者はやや顔面を強張らせながらも目礼をしてくるので、
心の中の憂鬱を隠しながら片手を上げて応じる。
俺はここの主任なのだから誰よりも仕事に忠実でいなければならない立場だ。
プライベートを仕事に持ち込もうとは思わないし、持ち込むことは殆どない。
ただDNAラボに向かう時だけを除いては。
ラボに近づくにつれ、足取りが重くなるのを感じ、情けない自分といつまでも
忘れさせてくれない忌々しいあいつに向かって小さく舌打ちをした。
きっぱり、さっぱり忘れてやるつもりだった。
だから新しい恋人も作った。俺はあいつがいなくても幸せになれるのだから
あいつの事など何とも感じたりしない、そうなるはずだったのに。
しかし現実は残酷なもので、忘れようと思えば相手を意識してしまう有様だ。
何とも思っていないはずなのに、自分の気持が分からない。
新しい恋人を愛おしく思っていることも事実なのだ。
「なぁ凄いやろ?珍しいやろ?」
「ああ、滅多にないよな、ここまでのは。突然変異か?」
思考の隙間に特徴的な方言と、嫌でも耳に馴染んでしまった声が入り込み
現実に戻される。
いつの間にかあと数歩という近さまで来ていたラボの中には、白衣をまとった
色黒のやたらテンションの高い男と、ラボから出ることなど無いくせに
気合の入った服装をした金髪の男の後姿が見えた。
なにやら二人で顕微鏡をのぞいている様で、やんややんやと盛り上がっている。
何にそんなに盛り上がれるのだろうと思いながらラボに足を踏み入れると、白衣の
男の方が先にこちらの存在に気づき、そのエメラルド色の瞳に不快感を盛大に滲ませた。
顔を見ただけでそんな不躾な態度を取られ、俺の眉間にも自然に皺が寄る。
学生時代の確執を未だに引きずっているこいつの名前は、アントーニョ。
何のいたずらか、警官からCSIに転属してきた彼とは同時期に配属になったいわば同期なのだが
過去の因縁のせいか顔を合わせるたびにお互いにらみ合う、あまり友好的とは言えない間柄だ。
「っちゅーわけやから、そのサンプルの分析頼むわ。ほな。」
「へ?ちょ、いきなりなに・・・」
早口でそれだけ伝えると、アントーニョはツカツカと足早にラボを出て行った。
もちろん、すれ違う瞬間俺ににらみつけるのも忘れずに。
突然態度が豹変した相手に驚きながら、アントーニョの動きに合わせてこちらへ背を向けて
いた金髪の男が振り返り、ばちりと目が合った。
DNAラボの責任者であり、俺を悩ます元恋人でもあるフランシスは俺と目を合わせたまま
形のよい眉を八の字にして困った風に肩を竦めた。
「相変わらずいがみ合ってるんだな。」
「あっちが勝手に俺のこと嫌ってるだけだ。」
ふんと鼻をならして顔を反らした俺を見て、フランシスは苦笑を浮かべる。
「それで?坊ちゃんは何の御用なの?」
「お前・・・俺のことは主任と呼べと何度言ったら分かる・・・」
「小さいときからそう呼んでるんだから良いじゃない、今更。」
フランシスは俺のことを"坊ちゃん”と呼ぶ。幼いころに家のものがそう俺の事を呼んでいたのを
近所に住んでいてよく家に遊びに来ていたあいつが真似てつけたあだ名だった。
子供のころならまだしも、成人して10年近く経とうとしている男に向かってつけるべき名前ではないだろう
と思うのだが、フランシスは呼び名を変えるつもりはないようだ。
・・・まぁ付き合っていたころと同じように、アーサーと呼ばれるよりかは精神的にはマシなのかもしれない。
「ここは職場で俺は主任、分かるだろ。」
「はいはい、で?お偉い主任さんは何の御用なの?」
正論をぶつければ、少し馬鹿にしたような口調で返してくるフランシスにイラっとするのを抑え
心の奥の緊張も抑え、あくまで冷静を装い応える。
「この前渡したサンプル、結果が出たって連絡よこしたのはお前だろう。」
「ああ、あれね!今プリントアウトするからちょっと待ってて。」
星でも飛ばしているかのようにウィンクを一つ飛ばすと、イスから立ち上がり目の前の男はパソコンへ向かった。
他人、例えばアントーニョがやったらムカつく以外の何者でもないその仕草は、フランシスがやると
なぜだが妙に似合ってしまい、図らずも胸をときめかせてしまった。
そんな自分に苛立ちを覚え、フランシスが座っていたイスへ乱暴に腰をおろす。
「先にプリントアウトしとけよな。」
「一応個人情報だから扱いに気をつけろって言ったの自分じゃない。暇ならそこにある顕微鏡でも見て待ってなさい。」
パソコンの画面から視線を外さずにちょいちょいと俺の目の前に置かれた顕微鏡を指差され、
そういえばラボに入る前に2人して何か見ていたことを思い出して覗いてみる。
そこにあったのは人間の皮膚組織の一片なのだが、普通のものとは違うあまり見ないタイプのそれに
科学者としての興味をそそられレンズの倍率を変えてじっくりと夢中になって見つめた。
「で?最近どうなのよ。」
「!?」
だからフランシスがいつの間にか背後にまわっていた事に気づかなかった。
慌てて逃げようとするが、作業台とフランシスの身体に挟まれ上手く身動きがとれず
あっという間にやつの腕が俺の腰に回り、後ろから抱きすくめられてしまう。
「おまっ・・・!離せ!」
「あのお子様とは仲良くやってるわけ?」
”お子様”という言葉にギクリと身体が強張る。
そんな俺の反応を見て、ふんっとフランシスが鼻で笑うのを背中で感じ悔しさから無意識に
下唇をかみ締めた。
「・・・お前には関係ないだろ・・・・」
「ねぇ、俺とあいつ、どっちが上手い?」
なにを、言っているのだ、この男は。
・海外ドラマCSI科学捜査班のパロディです。
・といってもあんまりCSI要素ない残念な感じ
・米英、仏←加前提の仏英
・ヘタで文章書くの初めてなので色々怪しいところが多々多々・・・・
それでもOKという心優しいお方向けとなっております^^
職場恋愛は禁止。
付き合っている当時は、業務に支障をきたさなければ構わないと思っていたが今は違う。
職場恋愛はしないにこした事はない。
付き合い続けるのなら問題はないだろうが、人と人はいつか別れるものだ。
分かれた後に元恋人と、何事もなく顔を合わせて仕事ができるか?
俺の答えはNOだ。向こうは何とも思っていないかもしれないが、正直こちらは気まずい。
お互いの、本当にプライベートな所まで知っている相手との仕事なんて気まずい以外の
何者でもないのだ。
しかしあいつは万年人手不足のこの職場にいてもらわければならない人物だし、
何より俺もあいつも今の職場が気に入っていて離れるなんて出来なかった。
だから俺達・・・俺とフランシスは別れた今でも毎日のように顔を合わせている。
職場恋愛は禁止、それは偉大なる先人の忠告だったのだ。
その言葉の偉大さに気づいたときには、もう遅かった。
そろそろ分析結果が出るころだろうと、DNAラボに向かう道を歩く。
この道筋を歩く時は、いつも小さな憂鬱と一緒だった。
全面ガラス張りのラボブースが並ぶ廊下を歩けば、俺の姿を見つけたある者は
笑顔で、またある者はやや顔面を強張らせながらも目礼をしてくるので、
心の中の憂鬱を隠しながら片手を上げて応じる。
俺はここの主任なのだから誰よりも仕事に忠実でいなければならない立場だ。
プライベートを仕事に持ち込もうとは思わないし、持ち込むことは殆どない。
ただDNAラボに向かう時だけを除いては。
ラボに近づくにつれ、足取りが重くなるのを感じ、情けない自分といつまでも
忘れさせてくれない忌々しいあいつに向かって小さく舌打ちをした。
きっぱり、さっぱり忘れてやるつもりだった。
だから新しい恋人も作った。俺はあいつがいなくても幸せになれるのだから
あいつの事など何とも感じたりしない、そうなるはずだったのに。
しかし現実は残酷なもので、忘れようと思えば相手を意識してしまう有様だ。
何とも思っていないはずなのに、自分の気持が分からない。
新しい恋人を愛おしく思っていることも事実なのだ。
「なぁ凄いやろ?珍しいやろ?」
「ああ、滅多にないよな、ここまでのは。突然変異か?」
思考の隙間に特徴的な方言と、嫌でも耳に馴染んでしまった声が入り込み
現実に戻される。
いつの間にかあと数歩という近さまで来ていたラボの中には、白衣をまとった
色黒のやたらテンションの高い男と、ラボから出ることなど無いくせに
気合の入った服装をした金髪の男の後姿が見えた。
なにやら二人で顕微鏡をのぞいている様で、やんややんやと盛り上がっている。
何にそんなに盛り上がれるのだろうと思いながらラボに足を踏み入れると、白衣の
男の方が先にこちらの存在に気づき、そのエメラルド色の瞳に不快感を盛大に滲ませた。
顔を見ただけでそんな不躾な態度を取られ、俺の眉間にも自然に皺が寄る。
学生時代の確執を未だに引きずっているこいつの名前は、アントーニョ。
何のいたずらか、警官からCSIに転属してきた彼とは同時期に配属になったいわば同期なのだが
過去の因縁のせいか顔を合わせるたびにお互いにらみ合う、あまり友好的とは言えない間柄だ。
「っちゅーわけやから、そのサンプルの分析頼むわ。ほな。」
「へ?ちょ、いきなりなに・・・」
早口でそれだけ伝えると、アントーニョはツカツカと足早にラボを出て行った。
もちろん、すれ違う瞬間俺ににらみつけるのも忘れずに。
突然態度が豹変した相手に驚きながら、アントーニョの動きに合わせてこちらへ背を向けて
いた金髪の男が振り返り、ばちりと目が合った。
DNAラボの責任者であり、俺を悩ます元恋人でもあるフランシスは俺と目を合わせたまま
形のよい眉を八の字にして困った風に肩を竦めた。
「相変わらずいがみ合ってるんだな。」
「あっちが勝手に俺のこと嫌ってるだけだ。」
ふんと鼻をならして顔を反らした俺を見て、フランシスは苦笑を浮かべる。
「それで?坊ちゃんは何の御用なの?」
「お前・・・俺のことは主任と呼べと何度言ったら分かる・・・」
「小さいときからそう呼んでるんだから良いじゃない、今更。」
フランシスは俺のことを"坊ちゃん”と呼ぶ。幼いころに家のものがそう俺の事を呼んでいたのを
近所に住んでいてよく家に遊びに来ていたあいつが真似てつけたあだ名だった。
子供のころならまだしも、成人して10年近く経とうとしている男に向かってつけるべき名前ではないだろう
と思うのだが、フランシスは呼び名を変えるつもりはないようだ。
・・・まぁ付き合っていたころと同じように、アーサーと呼ばれるよりかは精神的にはマシなのかもしれない。
「ここは職場で俺は主任、分かるだろ。」
「はいはい、で?お偉い主任さんは何の御用なの?」
正論をぶつければ、少し馬鹿にしたような口調で返してくるフランシスにイラっとするのを抑え
心の奥の緊張も抑え、あくまで冷静を装い応える。
「この前渡したサンプル、結果が出たって連絡よこしたのはお前だろう。」
「ああ、あれね!今プリントアウトするからちょっと待ってて。」
星でも飛ばしているかのようにウィンクを一つ飛ばすと、イスから立ち上がり目の前の男はパソコンへ向かった。
他人、例えばアントーニョがやったらムカつく以外の何者でもないその仕草は、フランシスがやると
なぜだが妙に似合ってしまい、図らずも胸をときめかせてしまった。
そんな自分に苛立ちを覚え、フランシスが座っていたイスへ乱暴に腰をおろす。
「先にプリントアウトしとけよな。」
「一応個人情報だから扱いに気をつけろって言ったの自分じゃない。暇ならそこにある顕微鏡でも見て待ってなさい。」
パソコンの画面から視線を外さずにちょいちょいと俺の目の前に置かれた顕微鏡を指差され、
そういえばラボに入る前に2人して何か見ていたことを思い出して覗いてみる。
そこにあったのは人間の皮膚組織の一片なのだが、普通のものとは違うあまり見ないタイプのそれに
科学者としての興味をそそられレンズの倍率を変えてじっくりと夢中になって見つめた。
「で?最近どうなのよ。」
「!?」
だからフランシスがいつの間にか背後にまわっていた事に気づかなかった。
慌てて逃げようとするが、作業台とフランシスの身体に挟まれ上手く身動きがとれず
あっという間にやつの腕が俺の腰に回り、後ろから抱きすくめられてしまう。
「おまっ・・・!離せ!」
「あのお子様とは仲良くやってるわけ?」
”お子様”という言葉にギクリと身体が強張る。
そんな俺の反応を見て、ふんっとフランシスが鼻で笑うのを背中で感じ悔しさから無意識に
下唇をかみ締めた。
「・・・お前には関係ないだろ・・・・」
「ねぇ、俺とあいつ、どっちが上手い?」
なにを、言っているのだ、この男は。
作品名:[*BL] CSIパロ 作家名:米すけ