ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~
ヒオウはまだ帰ってこない。
最近ようやく薄々と分かるようになった。
ヒオウの行き先。
昔は、お金を稼ぎに行っていたりしているときもあったようで、ただその稼ぎ方も化物を退治したり賭博で稼いだり、のほかにあると、それも最近分かるようになった。
ヒオウはとても女性にもてる。
見た目は確かに少年だが、外見も幼いヒナタと違いそこそこ大人になりかけの少年。それもとても美しい少年。
そして大人の女性の中には、そういった綺麗な少年をお金を支払ってでも手に入れたいと考える人がいると知った。
そう。
奉仕。
勿論家事とかではない。
体での奉仕・・・。
ただその稼ぎ方はヒナタと恋人になってからは止めたようであった。
でも・・・そのかわり・・・。
たまにいなくなる理由。
きっと普通の男なら仕方のない欲求。
ただヒナタには分からない欲求。
最近ようやく気付いた。
そして胸が締め付けられるような気持ちになった。
ヒナタをモノ扱いしていた頃は多分モノに対して持つ欲求ではないからといったところだったのだろうか・・・?
だが恋人となってからは・・・?
ヒナタの心と体があまりにも幼いから・・・?
やはり男だから・・・?
なぜ僕ではなく外に行くの・・・?
理由など1人で考えたって分からない。
だから直接聞こうと思った。だが聞けない。
昔の癖なのだろうか・・・?
どうしてもヒオウから話さない事を聞くという事に躊躇してしまう。
そして考えているうちに思った。
いつからだっただろう。
いつから僕はこんな事で胸が締め付けられるような気持ちになるようになった?
いつから僕はこんな事でせつなく考え事をするようになった?
いつから僕はこんなにもヒオウを恋しいと思うようになった?
・・・ただ多分、出会った頃からあった”好き”はこの気持ちだったのだろう。
ただ自分が分からなかっただけで。
そうしていつの間にかこういった感情を知るようになり、出会った頃から大切だと思っていた気持ちとリンクするようになった。
僕の大切な、恋しい人。
ああでもどうしたらいいのだろう。
そういった女性のいる場所には行って欲しくない。
でもそういった欲求をどうしてあげたらいいのかが分からない。
1度ヒオウが子供の作り方を教えてくれた事があった。
だけどそれは男同士で子供の出来ない僕らに当てはまらなくない?
どうしよう。
それに、正直、怖いというのもある。
欲求を満たす事によって、今度はそういう対象の道具とみなされてしまったらどうしよう、と思うと怖い。
ヒナタはため息をつき、窓を閉めた。そしてまたベッドに戻る。
暫くしてもともと疲れていたヒナタが本当に眠り出した頃、そっとヒオウが帰ってきた。
そしてそっとヒナタを覗きこむ。頬に涙の後があった。
「・・・ごめんね・・・?」
でも、もうそろそろかもしれない。
何も分からない無知な状態にしたのは僕のせい。
そんな無知なヒナタは確かに自分を好いてはいてくれるのは分かっていた。
だが無知が邪魔をしていた。
こればかりは言葉で説明できるものではない。
徐々にでもヒナタ自身に自覚してもらうしかなかった。
自分の生理的な欲求とヒナタへの自覚を促すことも兼ねて、ヒオウはあからさまではないにしろ完全に隠す事もせず、そういった欲求を満たせる所にたまに行った。
ただそういった行為をしても、排泄にもにた感覚しか得れなかったが。
でも、もうそろそろかもしれない。
ごめんね?
もうヒナタを操るような真似はしないから・・・。
作品名:ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~ 作家名:かなみ