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ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~

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渾然



「・・・あ、あのさ、最近は一人でどっか出かけたり、しないの?」

ある日ヒナタは顔を赤らめながらヒオウに聞いた。

ここは2人の故郷であるトラン、デュナンから遠く離れた場所だった。なかなか大きな街。
着いたら祭りでもあるのか、すごい賑わいを見せていた。
もしかしたら宿は一杯だろうかと危惧したが、何軒かあるようで2人が訪れた宿もちゃんと空きがあった。

荷物を片付け外に出るとやはり祭りが開かれるようで、ヒナタはうきうきしていた。ちょうど今日の夜からだということだった。
今はまだ準備中みたいだと少し残念がりながら、とりあえず必要なものを買いまわり宿に戻ってきた。

夜出れたら夜店でも見てみようか、とヒオウが言ってくれた。
とりあえず先にシャワーを浴びてもらう。そろそろ暗くなってきている。
次にヒナタがシャワーを終えて出てくると、ヒオウはもう暫くしたら花火あがるんじゃない、ここから見えるかもね、といいながらくつろいでお茶を飲んでいた。

ヒナタはふと気になっていた事を思い切っておずおずと聞いてみた。

「ああ、それ、ね。うん。しない。」
「え、と。ど、どうして?」

するとヒオウはお茶のカップをテーブルにおいてヒナタをじっと見た。
ヒナタはドキドキした。

「・・・そうだね・・・。ねえ、ヒナタ。ちょっと、おしゃべり、しようか。こっち、おいで?」

ヒオウに言われてそばに行く。
ヒオウは1人用のソファーから立ち上がりヒナタを3人掛けのソファーに座らせ、自分も隣に座った。

「ヒナタ。僕は君が好きだ。とても、大切だよ?」
「えっ、あ、ああ、うん。」
「ヒナタも僕のこと、好き?」

そう聞かれてヒナタは顔中真っ赤になる。

「あ、えと、う、うん。す、好きだよ?」
「ありがとう。ねえヒナタ。僕のこと好きっていう気持ち、僕がヒナタを好きっていう気持ちと同じになったと思わない?」
「えっ。なっ何で分かんの!?」

ヒナタはびっくりして俯き加減だった頭をあげ、まともに横のヒオウを見てしまった。
さらに赤くなりさっと逸らそうとした。
するとヒオウはそれを許さず両手でヒナタの顔を持つ。

「そりゃ、分かるよ?でね、ヒナタ。ヒナタがそういう気持ちとか、自覚してくれるの、僕待ってたんだ。」
「え・・・?」
「・・・ごめんね?辛い思い、した?もう2度とあんな所は行かないから。」
「ほ、ほんとに・・・?」
「うん。・・・だからね、ヒナタ。」

そう囁くと、ヒオウはヒナタの顔を持ったままキスをした。
いつもの、優しいキス。
そしてそっと顔を離し、また囁いた。

「僕はヒナタが欲しい。」

どくんっ。
ヒナタの心臓が跳ね上がった。

ヒオウはまた顔を近づけキスをしてきた。
今度のキスは今までのキスと全然違った。

暖かいキスではない。
熱い、キス。
ヒナタはまともに息が出来なかった。鼓動がますます激しくなる。

「っんっ・・・」

ヒオウの舌が息継ぎをしようとしたヒナタの口の中に入ってきた。

「!?」

そしてそれはヒナタの口の中を蠢く。
考えられない事をされているにもかかわらずヒナタはドキドキがとまらなかった。頭の中が混乱する。
そして何かもどかしい何かが胸を疼かせる。それに・・・。

ようやくヒオウが口を離した。
ヒナタは息苦しさと訳の分からない疼きとドキドキで息を荒くさせながらヒオウを見る。

「え、何、これ?何か、僕・・・」

ヒオウはニッコリとした。

「少しは興奮してくれた?」
「え?興奮?」
「そう。・・・ここが、ね?」

そう言うとヒオウがすっとヒナタの下半身に手をのばした。
ビクッとヒナタが震えた。

「あっ・・・な、何・・・?」
「・・・ねえヒナタ。僕はヒナタを奪っていいかな・・・?恋人として君を抱きたいんだけど、許してくれる?」
「あ・・・。こっ恋び・・・えと・・・、その・・・でも・・・僕ちょっと・・・怖いんだ・・・。」
「何が怖いの?教えて?」
「何するのか分からないのも怖いけど・・・1番怖いのは僕がヒオウの欲求を満たす事が出来たら今度は、欲求を満たす道具になっちゃったらどうしようって・・・。」
「ヒナタ・・・。安心して?きっと今まで僕が君に酷い扱いをしてきたからだろうね・・・。絶対にそんな事にはならないよ。ヒナタは僕のかけがえのない大切な大好きな人だから。何があろうが僕のこの気持ちは不変だから。」
「・・・不変・・・。ほんとに・・・?」
「絶対。僕はね、君を愛してるから・・・だから心も体も全部欲しいんだ。どっちかだけじゃなくて。」

そう言うと今度はまた優しくキスをくれた。

・・・時が経っても・・・何年何十年と経とうが、僕とヒオウは変わらないでいられる・・・。
ずっとお互いを必要としてお互いを求め合ってお互いを支えあえる。
不変。
あってもいいんだ。
この体と同じように、心も不変でいられるんだ。

ヒナタはギュッとヒオウに抱きついた。
そういえば誰かに抱きつくのも久しぶりかもしれない。前に1度僕という恋人以外に闇雲に抱きつくのはだめ、とヒオウに言われた事があった。
そんなものなのかと思いつつ言われたことは守っていた。
だけどだんだん自分の気持ちを自覚するようになってからは、意識してしまって逆にヒオウにすら容易に抱きつけなくなってきていた。

抱きついたままヒオウの耳元で呟いた。

「ヒオウ・・・、大好き・・・。どうしたらいいのかは分からないけど・・・僕もヒオウの全部、欲しい。」
「ありがとう。」

ヒオウはヒナタを抱き返すとそっと引き離した。

「僕を信じてね・・・?」

そう言ってまたキスをしてきた。

窓の外が明るくなる。花火が上がったんだ・・・。
ヒナタはぼんやりした頭で思った。