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涙目で必死に言葉を繕う彼女がどうしようもなく愛しい。
普段じゃ見せない真摯な瞳で覗き込む。
「好きだろ・・・?」
否定は許さない極上の甘さでささやく。
「・・・違・・う。」
顎を捉えて、あと数センチの近さ。
「好きだよな?」
「・・・獠の・・ばかぁ。」
とうとう零れだした涙に罪悪感。
「素直じゃねーの。」
・・・どっちがだ、と自分で突っ込みを入れたくなるが。
二度目のキスは塩味と・・・フレーバーティーの馨り。
家ではコーヒーしか飲まないのに。
俺の知りえない、外の世界はこいつにとって必要なんだろうけど。
極力排除してしまいたい。
どうしようもなく、こいつに嵌ってるな・・・俺。
息苦しさで緩められた唇から逃げ惑う舌先を捕獲して、貪りつくして開放してやる。
甘い痺れに身を任せている身体は力が入らないために緩んだ唇から湿った肉
塊が震えている。
女の表情をしている香。それに誘われたフリをして。
「俺に抱かれたいか?」
複雑なカーブを描いている耳のラインに沿って舌を這わせつつささやく。
「・・・嫌・・・イヤよ。だって獠は私のことなんて・・・好きじゃないんでしょう?」
「そう、思うか?」
期待と不安のまなざし。
ここで、好きだと言ってしまえば簡単なんだけどな。
そんな言葉だけじゃ足りないから。
「・・・ん。・・・あ、だめ・・。」
「口のワリには身体は素直だよな。」
首筋に唇を這わせてしゃべれば大げさにも思えるほど反応を返す。
襟ぐりの開いたカットソーの片方だけずらすとパステルピンクの肩紐が視界に入る。
瞬間、壮絶な罪悪感に襲われて動きを止めた。
「やっぱ、やめとく。」
行動の変化についていけない彼女を、子供をあやすように抱きしめる。
「りょ・・う?」
「そのうち判るさ。」
唐突に開放してまた混乱させる。
「ひとつだけ・・・言っておくが。お前次第だからな。」
「え・・?何、ちゃんと言ってくれないと判らない。」
そういうところが・・・・、お前のズルイとこだよな。無自覚なのが余計に腹が立つ。
「お前、答えを知りたがらないで、自分で考えてみろよ。」
残酷だけど。
今の関係を壊すならそれなりの代償が必要だ。
無垢なままで居られるならそっちのほうが幸せかもな。
俺のテリトリーに入ってくるなら、それなりの覚悟がないと・・・・。
「明日までの宿題な。」
一方的な確約。
別にそれが果たされるのを期待してるわけでもない。
出来るだけ、お前が後悔しなければいい。
体の関係だけじゃ物足りないんだろうから。
貪欲に。
心が欲しければ・・・。
捨て身で来いよ。
━━━俺に抱かれたくなったら、おいで。