無条件幸福
快斗が目を瞠ったあと、すぐに嬉しそうに笑ってくれたから、きっと笑えていたんだと思う。
それを確認して快斗に背を向けて走り出した。
二年前みたいに絶望した気持ちじゃなくて、もっと暖かい気持ちで。
「あおこっ!」
快斗の声に反射的に振り返る。
「お前、ほんといい女になったよ!」
初めて自分に向けてくれる、暖かくて甘い、優しい笑顔に。涙が出そうになって。
慌てて笑顔を作ってその場から走り去った。
幸せになってください。初めて全身全霊をかけてすきになった人。
幸せにしてあげてください。私の大好きな幼馴染を。
バカみたいに優しい人なんです。嘘がつけなくて、気持ちがいつも真っ直ぐで。わたしが悲しい顔をすると、自分の事みたいに感じてくれる。そんな、繊細な人なんです。
ふたり、離れないようにね。振られてもキライになれなかったバカなわたしの願いだから。
あのとき、一瞬でも、あなたがわたしをすきだと思ってくれたのなら。
それだけで。
十分です。
さよなら、わたしに痛みを教えた人。
END