FF7ヴィンセントのお話
「そうか、それはおめでとう。相変わらず、仲が良さそうだな。ずっとミッドガルにいたのか?」
「ああ、ニブルヘイムに戻ろうかとも思ったんだけど、メテオ騒動でぼろぼのミッドガルを放っておけなくてね。・・にしても驚いたよ、ヴィンセントがこんな所で牧場やってたなんて・・・」
「そんなに意外か?こういう生活もなかなかいいものだぞ」
「でも、どうしてまたこんな辺境で?グラスランド辺りだったら、ミッドガルだって近いし」
「そうだな・・・この辺りにはライフストリームの脈が通っているからかな・・・」
「あなた、普段は無口なくせに今日はとってもおしゃべりなのね。懐かしいお友達に再会できてよほどうれしいのかしらね」
ルクレッツィアがお茶を持ってきた。
「ルクレッツィアさん、今何ヶ月ですか?」
ティファがうらやましそうにルクレッツィアのお腹を眺める。
「もう7ヶ月よ」
ティファのねだるような視線がクラウドに向けられる。
「私も早く赤ちゃんほしいなー」
「ティ、ティファ!『赤ちゃんなんてお呼びじゃないわ、もっと遊ぶの』って言ったのは君だろ!?」
クラウドが真っ赤になる。
「冗談よ。クラウドっ」
「仲がいいわね、お二人とも、くすくす」
ルクレッツィアが笑う。
それから、しばらくその部屋では戦友たちの笑い声が響いた。
夕日が地平線に沈み、辺りの草原がまばゆいばかりに輝いている。
「今日はどうもありがとう、ヴィンセント」
「他のみんなにもよろしくな」
「ああ、伝えとくよ。ルクレッツィアさんもお元気でね」
「ありがとう、クラウドさん」
「じゃ、僕たちはこれで失礼します。行くよ、ティファ」
「ええ、クラウド。じゃ、ヴィンセント、お元気でね」
ヴィンセントは微笑んで右手を上げた。
クラウドとティファはチョコボにまたがり、金色の草原を駆けていった。
滝のような河の流れるような音が遠くから風にのって聞こえてくる。
「あなた、今日はまた一段とライフストリームの音が聞こえるわね。感じる?」
「ああ・・・」
ヴィンセントはルクレッツィアの肩を抱いた。
ライフストリームの音に混ざってルクレッツィアにあどけない子供の透明な声が聞こえた。
・・・もうすぐだね・・・・
「そうね、待ってるわよ。セフィロス・・・」
彼女は大きなお腹を優しくさすった。
−END−
作品名:FF7ヴィンセントのお話 作家名:絢翔