りりなの midnight Circus
エルンストはバニラの風味を醸し出す煙を天井に吹きかけ、それまでのことを思いやった。死んだニコル、信用をくれたなのは、自分を仲間だと言ったヴィータ、憎まれ口を叩くアリシア、それを守ろうとするエリオン、何かと気をかけるレイリアと朱鷺守。その他諸々。
「……行こう……俺をここから出してくれ」
それらにせめての義理を果たすには全ての災厄をこの手で打ち抜くことだと思い至り、エルンストはそれほど時間をかけずそれを決めた。
そして彼は踏み出した。暗黒に満ちる世界から、真実の陰りを見せる影の世界へ。
彼は、ようやくその一歩を踏み出すことが出来た。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪