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りりなの midnight Circus

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(ありゃ怒ってるな。捕まったら大変だ)
 【クリミナル・エア】も【ストライク・ビューワー】も、【コールド・アイズ】さえも持っていないエルンストだったが、後ろをいく彼らの憤りは肌で感じることができた。
「おい、こっちだ」
 ついつい後ろを振り向いてしまいそうになるエルンストにベルディナは、人の流れとは別の方向を指さして彼を導いた。
「そっちには何もないはずだが?」
 エルンストは、エアポートのエクスチェンジへの道からどんどん外れている。
「こっちでいいんだよ」
 ベルディナはじれったそうに彼を手招きし、人の流れを横断するように強引に足を進めた。
「だが、こっちには……事務所関係の施設しかないはずだが。直談判でもするつもりか?」
 もしくは、事務員の誰かを人質にとって運航便をハイジャック。などとでも考えているのではないだろうか。馬鹿な、とエルンストは思うが、ベルディナならそれもあり得ると思ってしまった。
「アホ、さっさとこい」
 ベルディナはあくまで黙秘を続けるつもりのようらしい。
 目的地も告げない、その手段も告げない。ただいう言葉は付いてこいの一言だけ。そもそも彼は面倒くさがり屋なのだろうか。
 ベルディナは、そのまま裏路地のように人のいない通路を曲がり、狭い廊下のような場所をただ突っ切った。
 ひょっとしたら、施設から外れてしまっているのではないか。
 先ほどから右に曲がっては左に曲がり、正面の扉を開いてはまっすぐ進む。まるで迷路のような区画をいくうちに、さすがのエルンストであっても現在地をロストしてしまいそうになる。
「ここだ」
 ベルディナは最後にたどり着いた小さなドアの前に立ち、そのドアの横にしつらえられたコンソールから何らかの暗証番号を入力しそのロックを外した。
 扉が開き、その中に入った二人を迎えたのは、整備服を着た一人の男だった。
「お久しぶりですベルディナ大導師」
 整備服と同じ青系統の帽子を脱いで一礼し、その青年はベルディナと久々の再会を祝していた。
「こちらは?」
 二人が徐々に雑談をし始めようとする雰囲気を察し、エルンストはその青年が誰なのかを聞いた。
「こいつは、カーティス・ボーマン。なりはこんなだが優秀な戦闘機乗りで、それでいくつか表彰を受けたこともある。その分、運転は荒っぽいところがあるが、そのほかは全くパーフェクトだ」
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪