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りりなの midnight Circus

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 ベルディナがそういってほめるのは珍しいのではないかと思い、それほど彼が優秀なパイロットなのだと悟ると、エルンストも自己紹介しておくこととした。
「俺は、エルンスト・カーネル、元時空管理局勤めの狙撃手だ。今は、逃亡の身だが、ベルディナ・アーク・ブルーネスからは何かと迷惑をかけられている。よろしくお願いする」
 それを聞いたカーティスは、豪快に笑った。それを見ると、どうやら彼もベルディナから迷惑を被っているものの一人であることが推測できる。
 ベルディナは不満そうな表情を浮かべているが、その意見には反論できない様子を見せていた。
 カーティスはひとしきり腹を抱えると、二人をそのさらに奥へと案内した。
 薄暗く、光の照明もほとんど見えない空間。ここは格納庫なのだろうか。彼らの周りには油くさい部品の大小が雑多に積み上げられており、その多くが錆や埃をかぶっいてるような状態だった。
 廃棄施設か。エルンストが見上げた巨大な輸送機が、真っ二つに切断されたまま放棄されたものをみて、彼はそう思った。
「あれはしっかりとカムフラージュして奥にしまわれています。少し埃まみれですが、最新の状態に保たれており、時空航行はもちろん単独離脱も可能ですよ」
 カーティスの情報にベルディナは頷くが、
「それは、テストをすませたということか?」
「いいえ、さすがにそこまでは。ただシステムの自己診断では一つも問題箇所は見つからなかったので」
「ともあれ、ぶっつけ本番か。少しリスキーだな」
「同意します」
 エルンストは二人の会話を半ばほどしか聞いていなかった。
 しかし、ともあれ、二人がこのミッドチルダから脱出しどこか別の時空世界に移動するつもりだということは理解できた。
(だとすれば、ガルメデス共和国か。)
 エルンストはそう予測して少しだけため息をついた。ガルメデス共和国。昨今よく話題に上る、時空世界においてはもっともやっかいな国だ。
 頻発するクーデターで政情は荒れ、国土は荒廃し多くの難民とストリートチルドレン、そして薬中毒患者(ジャンキー)を多く生産する国。
 確かに自分たちのような逃亡者が身を寄せる場所としては、そこ以上に適した場所はないだろう。
「おい、エルンスト。こっちだ」
 カーティスの声に気がつき、エルンストはそこに目を向けた。
「……見慣れない船だ」
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪