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りりなの midnight Circus

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 壊れて機能を失ったデバイス。エルンストが常に肌身はなさなかったそれは、先ほど高町なのはが身につけていたものとその形状は酷似している。
 ベルディナはおもむろに通信機を取り上げ、それに耳を当てる。
「俺だ、AWD(アーマード・ウェポン・デバイス)社につなげ。私的な用事だ」
 回線がつなぎ直され、しばらくして目的の人物が電話口に声を示した。
「ああ、キハイル教授か? 俺だ、久しぶりだな。いや、なに、一つ調べてもらいたいデバイスがあってな」
 カーテンから差し込む光が、今は息を引き取っている赤い宝石に差し込まれ、鈍い光を放った。

****

 教導隊本部を出たなのはは一度だけそれを振り返り、今まで自分が過ごしてきた日々を思い返していた。
 多くのものを得て、そしていくらかのものを失った。彼らは立ち去る自分を見て、どう思うだろう。賢明だと言うだろうか、臆病者と感じるだろうか。
 なのはは首に提げられた【レイジング・ハート】を握りしめ、深く深く息を吸い込み、そしてはき出した。
「もういいのかい? なのは」
 なのはは振り向き、そこに立っていた男性、ユーノ・スクライアに笑顔を向けた。
「うん、みんなとはお別れをすませたから。もういいの」
 ユーノは、「そう」といってなのはに手を貸し、その正面につけられた乗用車に彼女を誘った。
 ユーノの運転で発進する車。そして、流れゆく町並みをただじっと見つめて、なのはは口を開いた。
「ねえ、ユーノ君。ユーノ君は好きな人っているの?」
「え、えっと、なのは。どうしたの急に?」
「きっとユーノ君に好きになって貰える人は幸せなんだろうな。うん、きっとずっと死ぬまで、死んでも幸せでいられるんだろうな」
「な、なのは?」
「ねえ、私、知りたい。ユーノ君が好きな人が知りたい。教えて?」
「そ、それは……なのはも知ってるんじゃないの? そのひと。僕の側にいてくれて、僕を幸せにしてくれる人。それは、一人しかいないよ」
「うん、知ってる。知ってるけど、聞きたいのユーノ君の口から」
「そ、それは……、それはね……」

『失ったものがあった。なくしてしまったものがあった。それは多くは取り戻せないものだけど、それでもたくさんのかけがえのないものを私はもらった。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪