りりなの midnight Circus
なのはは、首にかけられたデバイス、【レイジング・ハート】を手でもてあそびながら少し首をひねった。
『Master,I have an idea(マスター、私に一つ考えがあります)』
「ん? なに? レイジング・ハート」
『Will you make him to command our new face in next sham battle ?(彼に次の模擬戦で新米達の指揮をさせてみては?)』
「そうだねぇ」
『I think that his Devaise is sutable to command to operetion(彼の持つデバイスはそれにうってつけだと思います)』
「ヴィータちゃんはどう思う?」
【レイジング・ハート】の助言を聞いてなのはは、一応ヴィータの意見も聞いておくことにした。
「別に良いんじゃねぇの。あたしもそれが最善だと思うぜ」
「それなら、通常訓練は情報関係の子達についてもらって。今回の締めの模擬戦は、みんなの作戦指示をエルンスト君にしてもらうって事で良いかな」
エルンストは頷いて一言「了解」と言った。
「その模擬戦の相手は誰になるのですか?」
通常で行けば、それはおそらくシミュレーターが作り出すガジェット(自動攻撃機)の模擬体か、何らかの機能を持ったマンターゲットか、とエルンストは考えていた。どうということはない、実際エルンストが受けた訓練はそれが殆どだったからだ。
「私たちだよ?」
エルンストは、それを聞いて少し驚いた。聞くところによるとなのははオーバーSランクであると知っていた。現在は陸士部隊の規定により、その能力に制限がかけられているにしても、その能力はAAランク〜AAAランクに相当するはずだ。そして、彼女のいう"私たち"とは、その隣で退屈そうに座るヴィータも含まれているのだろう。彼女の能力は見た目では計り知れないが、なのはと交流を持っていると言うことは少なくともAAランクは超えているはずだとエルンストは推測した。
少なくともAAランクを超える魔導師が二人を相手にする。新米の訓練にしては少し荷が重すぎるのではないだろうか。
その二人の様子からして、手加減することなど絶対にあり得なさそうだ。
(新米虐めか、それともそれがここの流儀なのか)
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪