りりなの midnight Circus
小型のホロディスプレイの発信器である少し長めの棒は、スイッチ一つで空間にモニタを投影できる。これは、時空管理局を始め、ミッドチルダのあらゆる場所で広く使用されているものであるため三人にもなじみ深いものだった。
三人は殆ど同時にそれをオープンし、そこから現れた何らかの書類に目を通した。
「特務機動中隊ですか。聞き慣れない部隊名ですね」
その書類を一通り目を通したなのははそこに記載された部隊名を見て小首をかしげた。聞き慣れない部隊名だ。しかし、どこかで耳にしたこともある。それはとても重要で、なのはにとっては忘れてはいけないよう気がする者だった。
「特務機動中隊。先のレリック、ジェイル・スカリエッティ関連の諸事件を受けて時空管理局古代遺物管理部に設立された新設部隊。その前身は同部署に設立されていた実験部隊、通称機動六課にあり、この部隊はその実働部隊として他の武装隊とは独立して設立されたものであると記憶しています」
エルンストはまるでどこかのマニュアルを読むかのように滞りなくその経緯を口にした。
機動六課。と聞いて、ヴィータは少し前にはやてが私的通信で、「新しい部隊を設立したんやぁー。よかったら、また遊びに来てなぁー」とお気楽極楽を地でいくような声でそういっていた事を思い出していた。
なのはもそれを聞いて、思い出した。はやてに関することを自分が忘れていたなんてどうかしてる。なのはは少しだけ恥ずかしくなり面を下げた。
「カーネル一等陸士のいうとおり。司令官は南雲(なぐも)白貴(はっき)三等陸佐。君たちには馴染みが薄いと思うが、八神はやて二等陸佐の後輩に当たる人物らしい。そこで、君たちはこの部隊の応援に行って欲しいということだ」
つまりは、エルンスト、なのは、ヴィータの三名は特務機動中隊(通称、機動中隊)への出向を命じられたということだ。エルンストは書類にある事例書の通りの命令に少し疑問を持った。
「何故今の時期に?」
「人手不足だ。それ以上の理由が必要か?」
「いいえ」
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪