りりなの midnight Circus
アグリゲットにはその会話の内容を聞き取れなかったが、おそらく現在の副官であるものが何らかの準備が整ったという知らせなのだろう。
「仕事ですか?」
自分も幾つか仕事を抱えてここにいる手前、あまり長い間彼女と話している訳にもいかない。それは機動中隊の仕事はもちろん、それ以外のものも。
アグリゲットは手持ちのファイルを強く抱えた。
「うん、そろそろ次の任務の辞令を受け取りに行かないと」
「そうですか、私も本局の人事部と技術部に用事がありますから、ここで失礼します」
アグリゲットはかつての習慣に従い、敬礼をせずに一礼し廊下を歩いていく。
「身体には気をつけてね」
フェイトは去っていく彼の背にそれだけを言い残すと、現在時刻を確認し、少し急がなくてはいけないと思い足早にドックを後いりにした。
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このエピソードは全面的に必要がない。ただ、後に登場するフェイトがホークアイに乗っているという事実と、アグリゲットの人となりを描ければいいわけだからそれはほかに任してしまってもいい。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪