りりなの midnight Circus
そして、身が凍り付いた。彼のスコープがそれを映し出した瞬間、それから発射された光は衝撃となり彼らに襲いかかる。
エルンストは、
「伏せろ!」
と言ってライフルさえも投げ出さん勢いで膝を折り、倒れ込むように地面に這い蹲った。
耳を塞がなければ潰れてしまいそうな爆音と共に、頭を押さえ伏せるエルンストの背に赤色じみた暖かなシャワーが降り注いだ。
ビチャッという生々しいその感触に、エルンストはニコルの死を悟った。
「クソ野郎が!」
僅かに白ろばむ視界と、ノイズだらけの聴力を遮断し、エルンストは着弾の確認のためその場に待機していた空の敵に狙いを定めた。
一秒間続いた彼の射撃は、白い霧と共にその音を途切れさせた。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪