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りりなの midnight Circus

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『……長遠距離による一撃必殺。相手の支配領域が半径2700kmなら、それを超える3000mの距離からの精密狙撃。それ以外に方法はない』
 そう、それは無駄とも思える監視を行っている彼が気を抜けば考えていたことだった。
『なるほど。だが、3000mもの距離になるとそれを正確に気づかれずに行うことは不可能に近いな。それはどうする?』
 エルンストは歯を食いしばり、犯人達の前に、おそらく後方の指令車両のなかでにやけ笑いを浮かべているベルディナを撃ち殺したくなった。
『3000m先のマンターゲット。それも限られた空間で動きが制限されている静的。俺なら、何とかなる』
 言ってしまってエルンストは気がついた。その答えを出してほしかったのはベルディナだったのではない。ベルディナに言わされたのは単なる免罪にすぎない。
(これを言うことで、俺はその先の言葉を期待していたということだ)
 高鳴る鼓動。冷えていく感情。エルンストはベルディナの言葉を待った。
『やりたいか?』
 しかし、ベルディナは最後の最後まで必要とする答えを出そうとしない。最後の最後までエルンストの意思を搾り出そうとした。
『やらせてもらえるのなら』
 ベルディナが薄笑いを浮かべる様子がエルンストにはわかった。通信機からは沈黙の音しか聞こえないが、確かに彼はその先で笑っていた。それは、【ストライク・ビューワー】が拾い集めた情報なのか、エルンストの妄想なのか。
 すでに意識の深い部分をそれと共有している彼にはその判断がつかなかった。
 エルンストは【ストライク・ビューワー】とのリンクを少しだけ緩め、言葉を待った。
『必要なものをすべて言え。ものでも情報でも。狙撃に必要なものならすぐに用意しよう。優秀な観測士もすでに待機させてある』
 ベルディナは許可を下した。
『何もいらない。ただ、あの周囲の状況を。これでもかというほどの詳細な情報がほしい。それだけだ』
『了解した。現在、現場周辺に君の同僚が潜伏中だ。連中は上の命令でその周囲のできる限りの詳細な情報を入手せよとの命令を受けそれを実行中だ。ちょうどいい、それをお前にやろう』
 なるほど。特務機動中隊にこの件への介入が要請された時点でこれは既に予定済みだったというわけか。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪