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りりなの midnight Circus

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 今考えるとおかしな話だった。いくら人手の足りない公安であってもその人員補充を陸士部隊に頼るはずはないのだ。
 ベルディナが何らかの裏工作をし、公安にそうさせるように手配をしたのであれば話は別だが。
 エルンストは次第に笑いがこみ上げるのがわかった。なんと言うこともない、しばらく本来の任務から離されて不満だったが、結局のところ便利に利用されるということは変わらないということだ。
(ならば、この身は最大限利用される消耗品であろう。そうすることで、解決するものがあるなら。俺はそうあろう)
 エルンストは、【コールド・アイズ】を傍らに置き、【ストライク・ビューワー】を搭載したライフル、【クリミナル・エア】を取り寄せ、それを狙撃銃へと変貌させる。
 ようやく息を吹き返したと言わんばかりに【クリミナル・エア】はひときわ大きな鼓動を発すると彼に忠実にその手へと滑り込んだ。
 【ストライク・キャンセラー】が暴食した情報は既にこの戦場ひとつを飲み込むほどに肥大化し、そこへさらに新たな情報が舞い込んでくる。
 機動中隊がかき集めた情報だった。おそらく、彼らには自分達が集めた情報は公安や警察、陸士部隊に提供され、事件解決の足場にされることと思い込まされているだろう。
 しかし、その情報はエルンストへと送られ。彼はそれを用いて誰の目にも留まることなくすべてを解決させようとしている。
 これもひとつのチーム戦か、とエルンストは皮肉に笑い、【ストライク・ビューワー】を覗き込んだ。
(風は安定しているが、ビルの樹海によってそれぞれの位置で風向きと風速が微妙に違う。弾道予測)
 エルンストは、【ストライク・ビューワー】にそう命じ、それは忠実にその命令を実行した。
 さすがに情報量が多すぎるのか。その解析には普段の倍以上の0.5秒の時間を有した。
 エルンストはまるで蛇の通り道のように曲がりくねり時に上下する軌跡を見て改めてターゲットとの距離の遠さを思い知った。
 エルンストはその軌跡をたどり、視界をズームし、そこよりおよそ3120mの距離を隔てたビルへと視線を移した。
 情報部の情報は正確のようだ。そこに映るものは、武器を片手に周囲を無駄なく警戒する男の姿とその脇に抱えられ、助けを求める悲鳴を上げる被害者の女性だった。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪