オールオーバーザマイライフ
出生がすごくあやふやだからといって、私自身が何か人と違うかと言われればそうではない。母のように常軌を逸した体のつくりでもなければ父のように変態でもない。いたって普通なのだ。けれども、そんなことはどうだっていいことだと私は思う。
朝起きればおはようと母が言ってくれて、家を出るときは行ってらっしゃいと声をかけてくれる人がいて、仕事さえなければただいまと迎えてくれる声もある。
そんな私の世界は、とても小さくけれどとても温かく、だから私はこの家庭に満足していて、そして何よりも大切だと思うんだろう。たとえそれがどんなに常識とかけ離れていたとしても、私はこの両親が好きなのだ。
だから、狩沢さんという両親共通の友人(本人いわく)にパフェをおごってもらうかわりに、両親の所謂マル秘エピソードを聞かせているということを、父と母の(特に母の)精神の安静面を考えて、もう少しだけ黙っておこうと思う。
作品名:オールオーバーザマイライフ 作家名:poco