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律姫 -ritsuki-
律姫 -ritsuki-
novelistID. 8669
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騒動の種は其処に有り

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それは、忍術学園のある日のこと。
「おい、伊作。起きろ」
布団に埋まっている青年を揺さぶって起こすのは、もう緑色の制服に身を包んだ青年。
「んー・・・留さん、おはよ」
制服の青年にしがみつくようにして体を起こすのは6年は組の善法寺伊作。
「朝トレ行かないの?」
「もう行ってきた」
「え、もうそんな時間?」
慌てて外の様子を確認する。
「まだ大丈夫だけど。また遅くまでなんか作ってただろ?」
「うん、今度のはなかなか調合に苦労して・・・見た目にもこだわったんだよ。あそこに・・・」
と指差す先には擂り鉢の向こうにある小皿。しかし、そこには何も乗っていない。
「あれ・・・?」
慌てて立ち上がり、小皿の付近を捜すが、何も見当たらない。
「ちょ・・待ってよ、なんで・・」
夜着のままあたりを探し回る。
「どんなのだ?」
「桜色の、これくらいの丸薬なんだけど」
と示すのは、ほんの飴玉ほどの大きさ。
「どっかに落ちたんだろ。見つけたら拾っておくから、とりあえず授業に行くぞ」
渋る伊作を着替えさせ、授業へと引っ張っていった。


「で、どんな薬なんだ?」
「これくらいの大きさで、桜色をしてるんだけど・・」
授業の合間に、い組の二人にも捜索願を出す。興味を示したのは立花仙蔵。
「違う。効能をきいているんだ」
「ああ、そっちね。うーん、ちょっと難しいんだけど・・なんていうのかな、好きな人への独占欲を高める・・・みたいな?」
「なんだそれは」
潮江文次郎も口を挟む。
「とにかく、もし万が一、いつもと違う様子の人がいたら教えてね。もちろん、普通に薬が見つかるのが一番嬉しいけど・・」
その言葉にい組の二人が了承の意を伝えて、それぞれの教室へ戻った。


そして放課後の委員会の時間。
「えーっと、今日の用具委員会の活動は・・・いつもの通りタコ壷と塹壕埋め、それから塀の補修依頼がきてたな。まあ、そんなもんか」
「うーんと・・割り振りは・・・俺と平太が塀の補修で・・・」
といったところで、視線を感じた。
「作?どうした?」
「あ、あの・・・俺・・今日は、壁の補修をしたい・・・っていうか・・・」
「ん?ああ・・・そういえば前に1回教えたきりだったな。じゃあ今日は1年全員で穴埋めにいってきてくれ」
「「「はーい」」」
スコップを持って、1年の3人が駆け出していく。
「作と二人で活動するなんて久しぶりだなあ、うちは4・5年生がいないからいつも1年の面倒見させて悪いな」
「いえ、とんでもないです。あの、俺こそ、わがまま言ってすみません。・・なんか、今日は先輩の近くにいたくて・・・」
作兵衛が照れたように顔を背けてそう言った様子に留三郎もなんだか面映い。
「ま、まあ・・たまには、二人で活動ってのもいいよな」
いつもの作兵衛なら決して口にしないような言葉に面映いながらも嬉しい留三郎である。
「お、俺、もっと先輩と一緒にいれる時間が欲しいです」
「・・え・・あ、作?」
さすがにいつもの彼とは違いすぎる様子に戸惑いを隠せない。
「それに、1年坊主だけじゃなくって、たまには俺にもこうさせてください」
塀の修繕が終ったタイミングを見計らって、留三郎に抱きついた。
「さ、作?大丈夫か?もしかして具合が悪いとか?」
「俺はいたって健康です」
「いや、でも、さすがに・・・。ちょっと保健室に行くか」
「保健室には・・・いきたくないです」
「でも、見てもらうのに越したことはないから、な?」
そういって留三郎が作兵衛の手を引いて、保健室へ歩き出した。
「・・だって保健室には善法寺先輩がいるじゃないですか・・」
作兵衛のそんな呟きに気付くこともなく。