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ティル・ナギ

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ぎぎぎとカラクリのような動きでナギとルックはカイトを見た。

「・・・あー、・・・まさか知らない人についていってそのまま・・・とか・・・?そんなある意味切ない話・・・?」


拙い話方を何とか理解したとたん、ナギは飛び出して行った。
ルックは唖然とカイトを見ていた。


「こっ、この人でなしーっ。」

いきなり部屋に飛び込んできたかと思ったら、テッドはナギにガシッと胸倉をつかまれた。

「ちょっ、なっ、く、苦し・・・」
「えっ?ナギ!?どっ、どうしたのいきなり!?ちょっと、落ち着いて?ほ、ほらお水。これ、飲んで。」

驚きながらティルは水差しから水を淹れてナギに渡した。
肩で息をしていたナギはテッドを離して、水をあえてゆっくりと飲んだ。

「ちょっとは、落ち着いた?」
「・・・うん、ごめん、ありがとうティル。」
「で、どうしたのいったい?テッドは別にどうでも良いけどナギが心配だよ?」
「どーゆー意味だ。」
「っテッドさんっ。俺は、俺はあなたを見損ないましたよーっ。」
「は?何で!?俺、何かしたか!?」
「・・・何か、した訳?ナギに?」

とたんに黒い笑みを向けられ、テッドは慌てた。

「な、何もしてねえぞ?」
「嘘だーっ。」
「・・・へえ・・・。」
「ちょ、ティル、待て。ナギ、ちゃんと分かるように話してくんない?」
「何もしてないなんてっ・・・。カイトさんに・・・、カイトさんに・・・」
「は?カイト?」
「あの幼げなカイトさんやっちゃってたくせにーっっ。」

テッドが固まった。

ポカンとするティルは、ナギを見た後テッドを見た。

「・・・テッド?」
「い、いや、ま、待て。」
「聞けば好きともなんとも言ってないくせにーっ。テッドさんが、テッドさんが体だけの関係をカイトさんに強いるなんてっ、うわーん。」

泣きながら何やら唱えだした。

「ちょ、ナギ!?テッドに喰らわすのはいいけど、ここ、せまい部屋ん中だから!!お、落ち着いてー。」
「眠りの風」

いきなり現れたルックが冷静な声で唱え、そのとたんばったりと眠りだすナギ。
ティルは慌ててナギを支え、近くの椅子に座らせた。

「ふー、助かったよ?ルック。」
「あんたもナギ相手だとホント情けないね。」
「ナギに何かするくらいなら自分で喰らうほうがマシだよ。それよりテッド?なんかナギが聞き捨てならない事言ってたケド?」
「へ、あ、いや。」
「テッドって、そんなヤツだったんだー。」
「最低だね・・・。」

ティルからも、特にルックから、白い目でテッドは見られた。

「っだーっ。くそっ、えーと、聞いてくれよ。だからさー当時の俺はさっきも言ってたように身近な人を側におきたくなくって、カイトに対しても失うのが怖くて、だから、その、愛してるとか、口に出せなかったんだよ。」
「ふーん、でも手は出すんだ?」
「そんなつもりはなかったんだけどさー、あんなのがさあ、しかも俺はソイツの事好きだってのに、ずっとくっついてくんだぜ?俺にも我慢の限界ってもんがあんだよ。」
「開き直りかい?」

ルックが白い目を向けたまま言った。

「・・・いや・・・。確かに口に出せないまま、手だけ出してしまったけどさ・・・、その、俺なりに最後まで大切にしてたんだ・・・、いや、実際最期じゃなかったんだけどさ。」
「まったく、テッドって変なヘタレ具合だよね?やっちゃう割に怖くて口に出せないってさー?」

ティルが言った。テッドははっとしてルックに聞いた。

「なあおい、ルック。ソレってカイトから聞いたのか?あいつ、何か言ってたか?傷ついてそうとか、そんな感じは?」
「・・・僕にカイトについての判断は高度だよ。ただ事実を喋っただけって感じだったけど?一見悲しんだり恨んだりとかまったくなくって、ただ話す、それだけ、って感じだったよ。」
「・・・そうか。」
「・・・ねえ、テッド。今からでもいーじゃん。ちゃんと言いなよ。」
「だ、だから何か今更・・・」
「ふうん、知らないよ?カイトが別の誰かとくっついても?」
「そ、そりゃ、それはカイトの自由だから・・・。でもそん時は俺が認めるようなヤツじゃねえと許さねえ。」
「何、その保護者きどり?」
「ルックー。テッドは、まあ手をだしちゃったりしてる訳だけど、実際保護者役だったみたいだよ?」
「・・・知らないよ、もう。好きにしなよ。・・・カイト残してきたままなんだ。とりあえずナギ連れていくよ。」
「えー?僕が運ぶよ?ナギにも説明しなきゃだし。」
「いい。僕が説明しとく。あんたは何言うか分かったもんじゃないし。」
「相変わらず失礼だねルック?」
「ふん。・・・ああ、言っとくけどナギ泣かせたらティルもテッドも、どんな理由だろうが次はないからね。それと、ティル。勿論無理強いは許さないけど、多少は隣のスケベバカ見習いなよ。じゃあね。」

言うだけ言うとルックはナギを抱えて消えた。

「えーと、アレ、どーゆー意味かな。」
「まあ、まんまだろ?多少は手も出せって事じゃね?・・・つーか、スケベバカ扱いかよ・・・。」
「・・・わお。」


ナギはルックにきちんと眠っている間の事を聞いたが、暫くの間は納得がいかずテッドにも冷たかった。
しかし肝心のカイトが本当にまったく気にしていない様子であり、テッドのカイトに対する面倒見の良さを変わらずに目の当たりにして、これもありなのかな、と気にならなくなっていったようである。
作品名:ティル・ナギ 作家名:かなみ