ティル・ナギ
「い、いやほら。獣耳が。尻尾も。これってやっぱ、化物的じゃね?」
「うん、そーだよね?」
テッドとティルがニッコリと言った。えー?とナギはまだ微妙そうである。ルックはため息をついた。
「・・・おまんじゅう・・・貰う・・・周って・・・。」
「は?」
「ああ、昔のハロウィンではさあ、皆カイトのまんじゅう好きをよく知ってて、お菓子にはまんじゅう用意してたからな。」
「ああ、なるほど。それで気持ち嬉しそうな訳?てゆーか自分の格好に関してはスルーなのかな?確か女性に間違われるのはあまり歓迎していない感じだったけど?」
「?ああ。多分だけど、今回のはホラ、女装というよりうさちゃんだろ?」
「てゆーかバニーガールっぽくないかい・・・?」
ルックは横で呟いた。ティルはニッコリして言った。
「うん確かに。でもいーんじゃない?本人が良ければ。似合ってるし。テッド、襲っちゃだめだよ?いくら君が狼で向こうがうさぎでも。」
「お、襲うかあぁ。」
「それに関しては信用される訳ないだろ。」
ティルに突っ込むテッドの横で、ルックは冷たく言い放った。
3人で話している間にカイトはてくてくと歩き出していた。
なんとなく1人はまずいだろうとナギはカイトについて行った。
3人が気付いたのは2人の姿が見えなくなってからだった。
「いない!!」
「ってゆーか、何か前にもこんな感じのコトなかったっけ、ルック。」
「あー、ナギがちょっと・・・の時だね・・・。」
まったく、と呟きながら、それでも紋章の気配をルックは探った。
その間2人はてくてく歩き続けた。
途中会った女性達からは、きゃあきゃあ言われながらお菓子を貰った。
何気にまんじゅうでない事に、うさ耳が下がりぎみのカイトと、女性から受けがよかった為、祭りだしィとようやく自分の姿に諦めがついたナギ。
兵舎の方に歩いていると、ぐるぐると体に包帯を巻きつけているフッチと、額に三角の白い布と、白い衣装を着たサスケに会った。
「わー・・・ナギ様にカイトさん。えーと、お似合いですね。」
「フッチ。微妙に嬉しくないんだけど・・・、あ、サスケ」
少し赤くなり目を逸らしているサスケにナギは続けた。
「その格好って、何に化けてんの?その衣装、あまり見ないよねー?」
「え、ああ。幽霊だよ。何でだろ。よく聞かれんなー。皆知らないのかなあ。この衣装は、着物だよ。」
「へー、キモノ。なんか、いいね。」
「そ、そうか?」
「あ、そうだ、トリック オア トリート、ナギ様、カイトさん。」
フッチに言われ、沢山のお菓子を2人にあげた。
それから歩き出そうとするナギらにフッチが言った。
「あんまりお2人で歩き回らないほうがいいですよ?特にそっち方面には。気を付けて下さいね?」
「?何か意味分かんないケド、うん、まあ、気をつけるよ?」
ナギが不思議そうに言った後、そのまま先へ進んで行った。
サスケが呟くように言った。
「なあ、あの2人って、自覚ないよなー。」
「はは・・・。」
そうして2人でホールの方に歩いていくと、今度はティル達がこっちに向かってきた。
「あー、フッチ。ナギら見なかった?」
「はい。お2人なら兵舎の方にゆかれましたよ。」
「やっぱり?ありがとう。」
ティルはそう言ってお菓子をフッチとサスケに渡して、先へ進んだ。テッドとルックもそれに続いていった。
「・・・あれ、ルック、だったよな?」
「うん。何か、似合ってたよね。」