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ティル・ナギ

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自覚3



ーある日の午後の事。

「おや、ナギ様。どうされたんですか?そんなに沢山の桃を持って。」
「貰ったんだー。あ、丁度いいや、あげる。おすそ分けだよ。いつも世話んなってるしね。」
「私にくださるのですか?光栄ですね。ではお言葉に甘えてお1ついただきますね。」

そう言って赤いヤツはカゴの中から桃を1つ取り、フム、とそれを見た後ナギに言った。

「まるでナギ様のようですね。」
「え、何で?」
「白くてほんのり赤くて、瑞々しくて、良い香りがして・・・きっと美味しいんでしょうね。」
「?なんかよく分かんないぞ?でも、うん、旨いよ。食べてみて?」
「フフ・・・ではナギ様。私の部屋で、お味見させていただけないでしょうか?」
「???えっと、どうぞ?」

その時暴風が吹き、赤いヤツはナギの目が届かない所まで飛んでいってしまった。
あとに残ったナギはずっと首をかしげていた。

ーまた別のある日の出来事。

訓練所では、ナギとブルーサンダーではないもう1人の青いヤツが2人で訓練をしていた。
たまたま時間的に本来の訓練には使用されておらず、いつもはその他の時間によく利用している熊等も酒場等に行っており偶然やってきたのがこの2人だけだったようだ。
片や剣で、片やトンファーで真剣に打ち合っていたが、青いほうが”参りました”と言ったのを機に休憩に入った。
荒い息を整えつつ、青いヤツはナギを見る。
ナギはほとんど息を乱していないものの、体を動かしたせいで上気しほんのり赤くなった頬。同じく赤くなってる唇を少し開けて筒から水を飲んでいる。そして視線に気付いたのか、どこかトロンとした目でニッコリと青いヤツを見た。

「ナ、ナギ殿っ。」
「ん?何?」
「ど、どうか俺の相手になってくれませんか?」

青いヤツは堪え切れないといった様子でナギにお願いする。

「は?今してたじゃ・・・」
「もう、俺は気持ちを抑えられない!!今すぐにでも!!ナギ殿、どうか俺の気持ちに答えていただけないでしょうか!!」
「?しゅ、修行、好きなんだねぇ・・・。えーとじゃあ今度は武器?徒手?他は・・・」
「寝技でーっ」
「体術!?」

ええっ?っという顔をしたままのナギはそのまま押し倒されようとされた時、建物内だというのに暴風が吹き、青いヤツは窓から飛んでいき見えなくなってしまった。
後には呆然としたナギだけが残されていた。

ーまたまた別のある日の出来事。

図書館の奥の、きれいな池のそばでナギはのんびりまんじゅうを食べながら日向ぼっこを楽しんでいた。そこに、至る所に出没する、とある放蕩息子が通りかかった。

「よっナギ。サボりか?」
「うるさいなー、休憩っつーてよ、休憩。」
「のんびりもいいけどさ。たまには賭博場とか、一緒に行かね?」
「うーん、ま、いいけどね。昔もよくそれで稼いだよなー。」
「マジでか?昔ってあのゲンカクとやらと暮らしてた時だよな?ってかすげえガキん時じゃないのか?」
「うちは貧乏だったからさー、そーゆー機会があればすかさず逃さず稼がせてもらったんだよねー。俺賭け事自信あったからさー。じいちゃんも金持ちからなら遠慮なくやっていいって言ってくれたし。」
「ってか、どんな育ての親だよ?あーでもよぉ貧乏っつても、賭けには元手がいんだろうよ?」
「うん、だからさ、体で払うって事にしてさ」
「ぶっ。なっえっおまっええーっ?」
「どうしたんだよ?ま、俺ほとんど負け知らずだったよー。」
「って、負けた事もあんだろう!?」
「うん。」
「・・・払ったんか?体で・・・?」
「まあ、ね。で、どうすんの?今から賭博場行くー?」
「お、おうっ。じゃあさ、お前がもし負けたら今回も体で払うってのは、どうよ!?」
「え?いいよ。体力には自信があるからね。万が一負けることになっても、草むしりでも何でも・・・」
「よっしゃーっ。善は急げだ。今すぐっ行くぞーっ。」

その時暴風が吹き、放蕩息子は遠い彼方へと消え去っていった。
後に残されたナギは、

「この土地ってどんだけ風強いんだよ!?」

とか何とか言っていたらしい・・・・・。



「・・・ていう訳。」
「・・・・・・。っつーか何なの?その突っ込みどころ満載な話は!?僕基本突っ込みじゃないけどね?これ、突っ込まずにいられないよね?まず言わせてくれ。どんだけ影から覗いてんだお前、ストーカー!?」

ルックが話し終えるとティルが言った。

「失礼な。これはたまたま僕が出くわしたからだよっ。出くわして良かったものの、僕がいなかったらどうなっていたか・・・。だいたい普段パーティ組む事多いからね。天然さを目の当たりにしてるから、気になってついついナギを探してしまうんだよっ。そしたら案の定ヤバい流れに巻き込まれてるんだ。まったく。手に負えないよ。」
「だいたいなんで名前伏せてんの?ばればれじゃん。つーかそいつら・・・すきあらば、だよね?」
「まあとりあえず各人たちには念の為、勘違いを正させてもらったケドね。・・・そのうちの一部は勘違いじゃなくてわざと、だろうけどね・・・あの赤いのとか赤いのとか…。」
「ここは僕がソウル君堪能ツアーにぜひお誘いするべきだよね?」
「知らないよ、そんなバレバレな黒い技使ってナギ怒らせても・・・。仮にも108星なんだからね。」
「ちぇっ。じゃあ2度とそんな事にならないよう、僕が丁寧にナギちゃんに実地で教えてあげるべきかな。」
「切り裂・・・「静かなる湖」」
「・・・。どうせナギにはヘタレなくせに。」
「わお。ルックんがなんだか黒いよ?お兄さん、怖いなー。」
「うるさい。とりあえずナギがバカなのはよく分かっただろ?もう僕を1人にして・・・」

何だか疲れて、引きこもりちっくな台詞をはき出した魔法使いの元を後にし、そろそろナギの部屋にでも行こうかなと、ティルは5階へ向かった。

・・・しかし天然とは。
その上どうも野郎共にまでモテているらしい。
確かにルックのように見守らないと、大変な事になるかもね。ティルは思った。

「あ、マクドールさん、考え事ですかー?」

どうも考えていてボーっと歩いていたティルを見つけナギが近づいてきた。
いつの間にかティルはナギの部屋のドアの前まで来ていたようだ。

「何考えてたんですか?今日の晩御飯とか?あはっ。」

ー君の事。とは言えないティル。

「うーん、今回はどういう学習内容にしようかな、とか?」
「げ、やな事考えてますね?」
「ふふ、じゃあ始めようか?」
話しながら部屋に入って、テーブルへ向かった。
ナギは渋々という感じだが、黙って席についた。2人は1時間みっちり講義を行った。

「…じゃあ、今日はそろそろ終わりにしようか。」
「だーっ。つっかれたーっ。マクドールさんでも、真面目な時はホントに真面目にすんですねー?」
「そりゃあね?でもナギくん、覚え悪くないよ?」

ティルはニッコリ微笑んで言った。

それを見たナギは一瞬目を逸らした後、言った。

「・・・そりゃ、どうも・・・」

ん?ティルは違和感を感じた。
今朝もこんな感じがあったような、なかったような・・・?
とりあえずコレ、明らかに気分害してるよね?なんで!?

「えーと、どうしたのかな?」
作品名:ティル・ナギ 作家名:かなみ