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影縫い

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『影縫い』




スペインによるロマーノ救出劇の後、スペインに殴られたところをソファーに座りながら手当てしながら日本が言った。

「ロマーノ君を立ち直らせるためにここまで連れてきたのに、彼の親分さんに殴られてしまうなんて、本当にどうしようもない方ですね」
「…別にそんなんじゃねーよ。あいつの呼び方がむず痒すぎただけだ」
「そう…ですか」
「何だ?歯切れが悪いな?」
「いいえ、何でもありません」
「お前の"何でもない"は信用できないが…まぁ、いいか。手当てが終わったら庭でお茶でも飲むか?」
「えぇ、是非。その前に…」

傷を包み込むようにそっと触れて、日本はイギリスの唇に触れるだけの軽くキスをした。

「日本…?」
「申し訳ありません、まだ手当てが残っておりますので…、もう少し…こちらにいらしてくださいませんか?」
「お前がそこまで言うんなら、…仕方ないから居てやるよ」
「はい、ありがとうございます」

素直な言葉が出せないイギリスの性分を分かり切っている日本にとっては、この言葉すら予想の範囲内。微笑みながら感謝の言葉を述べるとまたイギリスが赤
くなった。今度は耳まで赤くなっている。

「…全てを、なんて欲張りすぎですかね…」
「?急に何だよ?」
「いえ、私では手に入れられなかったものを友人が持っていたものですから、少し…悔しかったのです。幼稚ですよね」
「…まぁ、何かは分からないが、全て手に入らなかったら意味ないなら、俺だったら無理やり手に入れるけどな」
「えぇ、そうでしょうとも。あなたの本分はそうでしょうし、そうあるべきです」
「そんなこと言われたら、今すぐにでも実行してみせたくなるな。例えば、お前の羨ましいと思う心、とか。この、体とか」

そう言うと、イギリスは明らかな劣情を込めて隣に座る日本の太股を触った。
 
 それに顔色一つ変えずに日本が答える。

「おや、それはもうすでに手に入れておられるのでは?」
「いや、ここ最近のお前は頂いてないからな。放っておくとすぐ徹夜して無理して痩せていくし」
「さすがに私の全てを欲するだけはありますね、お見通しですか」
「別に隠す気もないくせに。お前は隠すときもため込むときも徹底的にやるだろ」
「それが性分ですから、私の…」

そこまでで日本の言葉は飲み込まれてしまった。イギリスの口内に。そのままソファーに日本の体を沈めて、覆い被さったイギリスが日本の上から問いかける。

「…なぁ、お前が羨ましがってるのって何だ?」
「さぁ…いつまでも手に入らないものかもしれません。昔に一度手に入れたような気がしていたのですが、気のせいだったようです」
「そうか。それじゃあもう一度手に入れたらいい。今度は気分じゃなく、本当にな」
「えぇ、そうだといいですね」

日本はまだ何か言いたげに自分を見下ろすイギリスの首の後ろに手をやり、そのまま自分の顔に引き寄せた。イギリスの言葉は今度は日本の口内へ消えた。そ
のまま、イギリスは日本の"全て"を手に入れることに集中し始めた。


作品名:影縫い 作家名:朝凪奏