二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

おとしもの

INDEX|1ページ/3ページ|

次のページ
 
おとしもの


「休暇を取れ。」
忙しいのに呼び出されたと思ったら。
艦長室に入室したら開口一番人の顔も見ないで言いやがる。

「は?」
「年度末だ。最低日数消化しろと。」
「そんな事言ったらそっちはどうなんだよ。」

「俺は良いんだ。艦長だから。それとそっちとか言うな。誰かに聞かれたら面倒だ。」
そんな理由があるか。

「家族持ちが取れば良いだろ。」
「俺は今度本部に行く時についでに取る。お前は今週中に取れよ。」
「今週中って今日木曜日。」

「それと溜まっている書類まとめて出せ。補正予算の申請書もな。年度末だから。」
書類にサインしながら言う。…年度末なんか嫌いだ。

「なんだよ。休みとって仕事終わらせろって事?」
「そういう事だ。徹夜してでも終わらせろ。」
「後半月はあるのに。」

「早めに出さないと予算付かないぞ。明日の5時までだ。」
「それひどぃ。」

「馬鹿言え。チエックしてサインするこっちの身にもなれ。」良くみると目の下隈が出来てる。
「ブライト。何時から寝てなんだ?」
「まだ2日だ。お前が書類早く出して呉れればそれだけ早く休める。」それは悲惨。

「わかったよ。部屋に戻って直ぐ手を付ける。」
「戻る前にこれ直していけ。」
「え?何?」
「途中から一段ずつずれている。」げ…。

使ってないPC借りて手直し。その合間にも通信機が鳴る。
「はい。」誰が怪我しただの部品が破損しただの対応するおれをブライトがちらっと見る。
殺気立ってる…。

切ってから通信機のモードを休暇中にして緊急通信以外受け付けないようにする。
これさっさと終わらせて残り部屋に戻って片付けないと…。怖い。

どうにか直して自分のデスクに退散。溜まった書類に手を付ける。さてどれから片付けたものか…。
一番急ぐのは補正予算か…。お金欲しいからがんばろ。

業者から取り寄せた見積もりと在庫を確認しながら必要数を割り出す。うーん。足りない。全然足りない。
どれを削るか考えながら計算。時間かかるから嫌なんだ…。そのうえすんなり通らない。うんうん唸りながら作る。
とりあえず納得できるもの作って一休み。ブライトの所に送信して背中を伸ばす。うーん。

「もう夜か。なんか食べないと。」簡単なもので済ませてさて残りを片付けるか。
業務日誌やら物品購入やら月末の在庫やらおれの所で後集計するだけになってる書類の山に手をつける。
われながら良く溜めたものだ。ブライトに言わせるとどうしてそこで溜めるのかわからないと。

書類見てるより機械見てるほうが好きだからなあ。何時でもできると思うとつい。さすがに溜めすぎ。
2・3か月分溜まってるなあ。ぶつぶつ言っても仕方ない。やるか。

部屋にこもって書類整理。フォーマットに入ってるからボタン一つで集計のはずが何で合わないんだろ。
みなおして不備のある書類はチエック…。1時間以内に再提出の通信を入れる。何ヶ月も前の事聞かれるほうも泣きが入る。
あちこちで悲鳴が上がってるかも。後でまたブライトに怒られるだろうがおたがいさまで。

皆で徹夜だ。あー年度末だなぁ。とか呑気なこと言ってる場合ではない。ほとんど自棄で一つずつ片付け終わった分を積み上げる。
おーやった気がするなあ。データ来た分は直して一通り終わらせるともうお昼。空腹は感じないが頭死んだ。

チェックは後回しにして頭切り替えるのに外で何か入れるか上手いコーヒー飲みたいし。
PC落として上着を引っ掛けて財布をねじ込む。ゲートで帰艦予定時間を描いて外へ出る。
コロニーの今日の予定は晴れだ。

面倒なので行きつけの店に行って軽く食べてゆっくりコーヒーを飲む。
上手いコーヒーは生き返るなあ…。

頭の中で書類のチエックをしてボーつとしながら外を見る。良い天気だなあ。
ブライトに差し入れを買ってご機嫌伺いでもするか。コーヒーはポットで買って晩御飯もついでに。

書類仕事に気が進まないので自然足が遅くなる。とろとろ歩いて帰ってきて基地に隣接する小さな公園でベンチに座る。
何でこんなところに公園があるかと言うと基地の職員住宅があったからだが最近は他所に移動したので形だけ残ってて遊ぶ子供もいない。
そのうち取り壊されるのかな…。寂しい気もする。

ぼーつと空を見て本当良い天気で日差しが暖かい。お腹が満ちて寝不足で瞼が重い。
少し寝てから帰れば良いか。硬いベンチに背を預けた。


                    ★   ★   ★


寝返りを打つ…。柔らかい…。気持ち良い…。へ?はっとして飛び起きる。
高そうな部屋で高そうなベッド。寝心地良い筈だよ。窓が開いてて風が入ってくる。

「何処だここ?」問題は今何時かだ。ベッドから出て外を見る。基地と比較的近い場所なのがわかる。

「早く帰らないと。」きびすを返してドアに近づき開けようとすると予想通り開かない。

溜息つきながらソファで人の買ったコーヒー飲んでるやつに「開けろよ。」と言うがにつこりして「嫌だ。」とかぬかしやがる。

「まず靴を履いてコーヒーでも飲んで落ち着きたまえ。」素足でぺたぺた歩いてたんだよな。
ベッド横においてあった靴を履いて

「だいたいそれおれの買ったコーヒーだろう。」
「良くわかったな。」
「オリジナルブレンドだから香りが違うんだよ。」

「きみも飲むか?」
「人のもの勝手に飲むなよ。ブライトの為に買ったのに。」
「拾ったものは一割の権利だ。」

「拾ったってなんだよ。おれは落としてないぞ。」
「きみと一緒に落ちていた。」
「ベンチで寝てただけだ。」

「落ちていたから拾った。」
「落ちてたって言うなら誰が落としたんだよ。」
「きみが。」

禅問答か?そんな事してる暇無いんだが。
窓から出ようかと近寄ると5階以上ある。
怪我するな…。ロープでもあれば降りれないことはないか。

「窓から出るのはやめたほうがいいぞ。怪我したくないだろ。座ってコーヒーでも飲みたまえ。」
だからそれは俺のだって。仕方なく座って睨む。

「あなたのお遊びに付き合ってる暇無いんだけど。帰って書類出さないとブライトに殺される。」
「なんだね。それは。」
「年度末だからに決まってるだろ。」

「ああ…。」とか言いながら人のコーヒー飲んでる。余裕のある態度にムカつく。

「どうせ書類溜めていたんだろ。ブライトも気の毒に。」
「悪かったな。気の毒だと思うなら開けろよ。5時までに出さなきゃいけないんだから。」
「まだ出来てないのか?」
「まだだよ。」

「…えばって言うことか?」
「再チエックしてサインするだけにはしたんだけど。」
「枚数は?」
「え〜と10種類の書類を約4か月分。」

下のほうに埋もれた書類もあってよくみたらそのくらい古いのもあった。

「…給料泥棒。」

本当のことでも腹立つ。誰かさんの所為で時間外労働が多い所為だと思うぞ。口にするのも嫌だが。
探索勤務で散々引っ張りまわされたり本部に呼び出されたりあー思い出すと血管切れそうだからやめよう。
冷めかかったコーヒーに口をつける。今4時になるところか…。

カップを一気に空けて皿に戻す。睨みつけて
「ドア開けてくれ。」
作品名:おとしもの 作家名:ぼの