目に見える形
「俺は前々から思ってたことがあるんだ。俺はね、物事には順序が必要だと思うんだよね。あれだよ、何を行うにも手順があってそれを順番にステップアップしていかなければなきゃ駄目なんだよ。横着はよくない」
「へぇ……?」
臨也が何を言いたいのか良くは分からないが、珍しく真面目な感じの臨也の言葉に帝人はキョトンとした顔で臨也を見つめていた。
そんな帝人に臨也はニッコリ笑いながら、話を続ける。
「と、いうわけで帝人くん」
「はい?」
「俺と結婚しようよ」
そう言って臨也は晴れやかな顔をしながら、机の上に婚姻届と書かれた紙を置くのだった。
「臨也さん」。
「何かな帝人くん」
「言ってることと、やってることがおかしくないですか?」
「え?そうかな?」
そう言って完全に確信犯としか思えない胡散臭い笑みを浮かべながら、臨也は婚姻届けをグイグイと帝人へ押しつけてくる。
「ちょ、やめてください。いきなり意味分からないんですけど」
「特に意味はないよ。けどほら、そろそろ良いかなって思って」
「何が良いんですか、意味不明です」
「百歩譲って結婚はまた後日考えるとして、まぁとりあえず婚姻届にサインしてくれない?サインしてくれるだけで、名前、書いてくれるだけでいいから」
ニコニコと、だがしかしどことなく真剣に臨也はそう言って帝人に婚姻届を握らせるのだが、だがしかし当の帝人はというと心の底から鬱陶しそうな顔をして一言呟くのだった。
「絶対嫌です。気持ち悪いです」
「………………」
(あれ?)
しかしその瞬間、臨也が酷く傷ついたような顔をして黙りこんでしまった。
本気でショックを受けているらしい臨也を見て、もしかしていつもの軽い冗談ではなかったのだろうかと帝人は焦った。
「あ、あの、臨也さん……?」
「………もういい、帰る。帝人くんの馬鹿」
「あ、ちょ、臨也さん!」
言いたいことだけ言って、臨也はそのまま帝人の家を飛び出していってしまったのだった。
「……臨也さん、どうしたんだろ」
いつもと少し様子の違う臨也の後ろ姿をただ呆然と見送って、静かになった部屋で帝人は押しつけられた白紙の婚姻届を手に思わずキョトンとするのだった。
「へぇ……?」
臨也が何を言いたいのか良くは分からないが、珍しく真面目な感じの臨也の言葉に帝人はキョトンとした顔で臨也を見つめていた。
そんな帝人に臨也はニッコリ笑いながら、話を続ける。
「と、いうわけで帝人くん」
「はい?」
「俺と結婚しようよ」
そう言って臨也は晴れやかな顔をしながら、机の上に婚姻届と書かれた紙を置くのだった。
「臨也さん」。
「何かな帝人くん」
「言ってることと、やってることがおかしくないですか?」
「え?そうかな?」
そう言って完全に確信犯としか思えない胡散臭い笑みを浮かべながら、臨也は婚姻届けをグイグイと帝人へ押しつけてくる。
「ちょ、やめてください。いきなり意味分からないんですけど」
「特に意味はないよ。けどほら、そろそろ良いかなって思って」
「何が良いんですか、意味不明です」
「百歩譲って結婚はまた後日考えるとして、まぁとりあえず婚姻届にサインしてくれない?サインしてくれるだけで、名前、書いてくれるだけでいいから」
ニコニコと、だがしかしどことなく真剣に臨也はそう言って帝人に婚姻届を握らせるのだが、だがしかし当の帝人はというと心の底から鬱陶しそうな顔をして一言呟くのだった。
「絶対嫌です。気持ち悪いです」
「………………」
(あれ?)
しかしその瞬間、臨也が酷く傷ついたような顔をして黙りこんでしまった。
本気でショックを受けているらしい臨也を見て、もしかしていつもの軽い冗談ではなかったのだろうかと帝人は焦った。
「あ、あの、臨也さん……?」
「………もういい、帰る。帝人くんの馬鹿」
「あ、ちょ、臨也さん!」
言いたいことだけ言って、臨也はそのまま帝人の家を飛び出していってしまったのだった。
「……臨也さん、どうしたんだろ」
いつもと少し様子の違う臨也の後ろ姿をただ呆然と見送って、静かになった部屋で帝人は押しつけられた白紙の婚姻届を手に思わずキョトンとするのだった。