目に見える形
「あぁ、もしもし?新羅?」
『おや、そっちから電話なんて珍しいね。何か用かい?』
「まぁ用って程じゃないんだけどさ。この前、婚姻届見せてくれたけど、よく考えたら俺と帝人くんにはそんなモノ必要無かったよ」
『へぇ、そうなんだ?』
「あぁ。あんなもの無くても、俺たちはちゃんと繋がってるからね。だからあんな紙、羨ましくも何ともないよ」
『そっかそっかぁ。良かったね、折原くん。君みたいな人間でも愛してくれる人が居て。その事実に私は心から感動したよ!あ、何、セルティ?え、あぁ、今すぐ行くよ!ん、嫉妬してくれるの?あはは、痛いよ、セルティ、!あ、じゃあ僕は急用が出来たから、またね』
「…………」
何となく、負けた気がしたような気がしなくもない臨也は通話の切れた携帯を眺めて、思わず舌打ちを零す。
そしてこの荒んだ気持ちを癒して貰おうと、臨也は今度は新羅とは別の電話番号へ電話を掛けるのだった。
「もしもし、帝人くん?あのさ……」
エンドレスループ、
でも、こんな日常も悪くない。