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ドラクエパーティーのとある三角関係

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………………

チッ。
ククールは舌打ちすると、顔を背けカチンとレイピアを納めた。

「丸腰相手に斬りかかれるかよ、恥ずかしい。」
言いながらバツが悪そうに髪をかき上げる。
ばかばかしい、と事の一件を一蹴してとっとと戦闘態勢をといた。
「ったく、勝負の続きは実際ゼシカを挟んでって事でオチだな。感謝しろよ、俺がこういう性格で」
「うん。多分性格上この状況ではそういう風に考えると思った」
「そうだなこの状況では俺はそういう風に…………………は!?」
エイトの戦闘態勢がとけ、いつものすっとぼけた顔に戻った。





ぶっちゃけると要するにそういう勝算だった。
それは確信犯だったらしいが、もし斬りかかっていたらおまえどうするつもりだったんだよ、と
ククールはあきれながら呟く。
「斬りかかっても負けないよ。勝てないけどね」
エイトはべっ、と舌を出すと苦笑い気味にあはは、と笑い飛ばした。

「………………」

この赤バンダナ……
全くいい根性してやがる………。

そのあまりの度胸にククールは心底あきれ果てた。










やれやれとっとと帰るぞ、とククールはため息交じりに促すと
馬車の待つ方へと歩き出した。

エイトはその後を追って彼の後ろに追いつくと、
優しく微笑みながら油断している背中にとんでもない攻撃魔法を呟いた。

「俺はね、ゼシカもヤンガスもククールもみんな同じくらい好きなんだよ。
陛下と姫はまた違った意味で大切だけど、
ゼシカだけ特別というわけじゃないし、ククールの邪魔をする気もないし」

ズガン、と後頭部に何かくらったような気がした。


え。
あれ?
あれあれ。
おーい、ちょっと。なんだ今の…………

あら。
あららっ。
あっらららら………あ~~~~あ~~~~~



「みんな大好きっておま……マジ…………なんだそれ。
そりゃないっしょ……マジすか……あ~あ……うーっわ~~~~~~~」

ククールはここへきてようやく自分の勘違いに気がついた。羞恥心を押してぬかした
『ゼシカの事をどう思ってるのかって聞いてるんだ!』
セリフが脳内で高らかに響き渡る。その言葉を聞いた時のエイトの反応を今考えると、

『は?』

ああ………
そうか……。
あれが…………
あの最初の「は?」が……あれがもう全ての答えだったんだ――――――



隠そうにもどうにも自己嫌悪は隠し切れず、ククールは恥ずかしいやら情けないやら
何だかもうよく分からない感情に蝕まれ、しばらく無言で歩き続けた。
「何だかよく分からないけどがんばってね。気持ち伝わるといいね。あれ……ククール?」
今現在その激励は全くもって余計なお世話だった。
そればかりかその攻撃魔法は絶大なる破壊力でククールに襲いかかり、
彼をその羞恥心ごと木っ端微塵に打ち砕いた。





やがて待ちくたびれた仲間のもとに朗らかなエイトとがっくりとうなだれたククールが戻ってきた。
しばらくして夢と希望に向かって馬車は元気よく出発したが
その傍らでは羞恥と自己嫌悪にさいなまれた全身血祭りが
赤バンダナに一生懸命なぐさめられていた。