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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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【完全読み切り】淨

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鐘の塔が焼けた時、三匹の名もなきポケモンが命を落とした。
 その時、伝説の虹色の鳥が、その三匹をよみがえらせた。
 一匹は、落ちた雷になぞらえて、
 一匹は、燃える炎になぞらえて、
 そして、一匹はその炎を消すために降った雨になぞらえた。
 
 #

 「マツバ、お前、何してるんだ?」
 「ああ、ミナキか」
 マツバと呼ばれた少年は、ふと読んでいた本から目をあげる。
 「実はね、エンジュに残る伝え話を調べてたんだ」
 「ふーん、変わってるな」
 「アハハ…」
 「で、その絵は何だ?」
 「ああ、これは…伝説のエンジュの鳥、ホウオウだよ」
 「ホウオウ…?」
 「言い伝えによると、このホウオウが、鐘の塔が焼け落ちた時に死んだ3匹のポケモンをよみがえらせたといわれているんだ」
 「ホントかねぇ…なんか信憑性に欠けるな」
 「ふふ…でも、いるかいないかわかんなくったって、憧れるよな…そんな鳥がいて、今も優雅に空を飛んでいるって考えると…虹色の翼…かあ…」
 「けっ、現実見ろよ。お前の眼には、他の連中にまで見えないほどの現実が映るだろうが」
 ミナキはきっと自分の千里眼のことを言っているのだろう、と思った。
 「まあ、それでよく探しものなんか頼まれるけどさ…それはともかく、ミナキも、これを見たら、そんなこと言えなくなるだろうよ」
 「なになに…蘇らされた伝説の3体のうちの一つ…スイクン?」
 「そして、見たという人が書き残した絵がこれだ」

 その絵を見なければ、あるいは彼は普通の平凡な人間として生きていたかもしれない。

 #

 「水ポケモン・スイクン。その持つ力で、どんなによどんだ水も清らかにするという…なんてすばらしいんだ!」
 彼は、連日鐘の塔に訪れた。

 ある日、彼はあるポケモンを目にする。
 「あいつだ…」

 その風格、りりしい顔立ち…。
 まさしく、伝説のポケモン、スイクンだった。

 しかし、相手は、ミナキの姿を見ると、どこかへ去ってしまった。

 「もう一度…あの姿を見たい…」
 彼は、いろいろなデータを調べた。調査によると、最近になって、汚れていたジョウトの水が次々にきれいになっているという。

 「待てよ…」

 #

 「もしかすると、スイクンは警鐘を鳴らしているのではないか」
 汚い水がどんなにきれいになろうとも、数日経てば、また元に戻る。