【完全読み切り】藍
「海…生命を生み出す母なる海」
彼はとらわれていた。自分の好きな海が穢されることが嫌いだった。
だから、自分がどんな悪とも思われてもよかった。海をきれいにすること、それにきづかせるためには、カイオーガ、海の覇者を呼びさまし、危機感を呼び起こさせることが大事だと思っていた。
アオギリ。彼の名は、アオギリといった。
#
「アオギリ様、ついに藍色の宝珠(たま)を手に入れました」
「そうか。よくやった」
藍色の玉。カイオーガの怒りを鎮めるのに使われたという、聖なるサファイアの宝珠。
その力を使えば、あるいは、逆に怒りを呼び起こすこともできるのではないか。
この推理は正しかった。そして、海底洞窟に眠るカイオーガを呼び起こすことも、たやすかった。
そして、今、彼が眼下に見ている光景がこれである。
#
「嘘…だろう…」
そこには、カイオーガだけでなく、グラードンもいた。
大地の覇者、グラードン。その力は、陸を広げるためにあるといわれる。
「マグマ団…か」
アオギリと最も親しかった彼が、彼と意見の相違を起こして、彼と口を利かなくなったのは、いつのことだろう。彼は、海なんかより、大地のほうが大事だと主張し続けていた。生命が棲んでいるのは、大地である。だから、大地の土壌汚染や森林伐採や、その他の問題を解決するほうが先決だ、と。
「お前も、ずっと頑張っていたのか」
二匹が目覚めると、伝説では決闘が始まって、嵐が起きるとされている。
その嵐によって、ホウエンが沈む、とも。
「私は、どこで間違っていたのだろう…」
そのときだった。
「いいえ、まちがってませんよ」
「キミは…」
「忘れたんですか?ユウキですよ」
「ああ…キミか…どうしてここへ?」
「外に上がってきたら、ここに着くだろうと思いました」
「そうか…で、間違っていないというのは?」
「あなたの考えですよ。人間が環境…海をけがしているということ。それは紛れもない事実です」
「だが…今となってこんなことをしてよかったのかは疑問だが」
「もう一度怒りを鎮めてもらえばいいじゃないですか」
「簡単に言うが、そんなことができるというのか?」
「できますよ。…一人じゃ無理ですけど。だから、呼びに来たんです。3人でやらないか、って」
「3人?」
彼はとらわれていた。自分の好きな海が穢されることが嫌いだった。
だから、自分がどんな悪とも思われてもよかった。海をきれいにすること、それにきづかせるためには、カイオーガ、海の覇者を呼びさまし、危機感を呼び起こさせることが大事だと思っていた。
アオギリ。彼の名は、アオギリといった。
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「アオギリ様、ついに藍色の宝珠(たま)を手に入れました」
「そうか。よくやった」
藍色の玉。カイオーガの怒りを鎮めるのに使われたという、聖なるサファイアの宝珠。
その力を使えば、あるいは、逆に怒りを呼び起こすこともできるのではないか。
この推理は正しかった。そして、海底洞窟に眠るカイオーガを呼び起こすことも、たやすかった。
そして、今、彼が眼下に見ている光景がこれである。
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「嘘…だろう…」
そこには、カイオーガだけでなく、グラードンもいた。
大地の覇者、グラードン。その力は、陸を広げるためにあるといわれる。
「マグマ団…か」
アオギリと最も親しかった彼が、彼と意見の相違を起こして、彼と口を利かなくなったのは、いつのことだろう。彼は、海なんかより、大地のほうが大事だと主張し続けていた。生命が棲んでいるのは、大地である。だから、大地の土壌汚染や森林伐採や、その他の問題を解決するほうが先決だ、と。
「お前も、ずっと頑張っていたのか」
二匹が目覚めると、伝説では決闘が始まって、嵐が起きるとされている。
その嵐によって、ホウエンが沈む、とも。
「私は、どこで間違っていたのだろう…」
そのときだった。
「いいえ、まちがってませんよ」
「キミは…」
「忘れたんですか?ユウキですよ」
「ああ…キミか…どうしてここへ?」
「外に上がってきたら、ここに着くだろうと思いました」
「そうか…で、間違っていないというのは?」
「あなたの考えですよ。人間が環境…海をけがしているということ。それは紛れもない事実です」
「だが…今となってこんなことをしてよかったのかは疑問だが」
「もう一度怒りを鎮めてもらえばいいじゃないですか」
「簡単に言うが、そんなことができるというのか?」
「できますよ。…一人じゃ無理ですけど。だから、呼びに来たんです。3人でやらないか、って」
「3人?」