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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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【完全読み切り】藍

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「海…生命を生み出す母なる海」
 彼はとらわれていた。自分の好きな海が穢されることが嫌いだった。
 だから、自分がどんな悪とも思われてもよかった。海をきれいにすること、それにきづかせるためには、カイオーガ、海の覇者を呼びさまし、危機感を呼び起こさせることが大事だと思っていた。
 
 アオギリ。彼の名は、アオギリといった。

 #

 「アオギリ様、ついに藍色の宝珠(たま)を手に入れました」
 「そうか。よくやった」

 藍色の玉。カイオーガの怒りを鎮めるのに使われたという、聖なるサファイアの宝珠。
 その力を使えば、あるいは、逆に怒りを呼び起こすこともできるのではないか。
 この推理は正しかった。そして、海底洞窟に眠るカイオーガを呼び起こすことも、たやすかった。
 そして、今、彼が眼下に見ている光景がこれである。

 #

 「嘘…だろう…」
 そこには、カイオーガだけでなく、グラードンもいた。
 大地の覇者、グラードン。その力は、陸を広げるためにあるといわれる。
 「マグマ団…か」
 アオギリと最も親しかった彼が、彼と意見の相違を起こして、彼と口を利かなくなったのは、いつのことだろう。彼は、海なんかより、大地のほうが大事だと主張し続けていた。生命が棲んでいるのは、大地である。だから、大地の土壌汚染や森林伐採や、その他の問題を解決するほうが先決だ、と。
 
 「お前も、ずっと頑張っていたのか」
 二匹が目覚めると、伝説では決闘が始まって、嵐が起きるとされている。
 その嵐によって、ホウエンが沈む、とも。

 「私は、どこで間違っていたのだろう…」

 そのときだった。

 「いいえ、まちがってませんよ」

 「キミは…」
 「忘れたんですか?ユウキですよ」
 「ああ…キミか…どうしてここへ?」
 「外に上がってきたら、ここに着くだろうと思いました」
 「そうか…で、間違っていないというのは?」
 「あなたの考えですよ。人間が環境…海をけがしているということ。それは紛れもない事実です」
 「だが…今となってこんなことをしてよかったのかは疑問だが」
 「もう一度怒りを鎮めてもらえばいいじゃないですか」
 「簡単に言うが、そんなことができるというのか?」
 「できますよ。…一人じゃ無理ですけど。だから、呼びに来たんです。3人でやらないか、って」
 「3人?」