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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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【完全読み切り】拐

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「俺は…こんなに無力なのか?」
 そう思って、愕然とする。

 幼馴染が、連れ去られた。
 
 #

 彼女のかわいさはフタバ一だった。少なくとも彼はそう思っていた。
 周りの友人によくからかわれた。
 「おや、ジュンくん、また彼女とお出かけっすか?」
 「黙れお前、俺をなめんなよ」 
 「ヒュー、怖い怖い」

 ただし、どんなに馬鹿にされても、彼女と外に出るということはやめなかった。彼女以外のやつらと出かける時より、気の置けない中になっていたのだった。彼女のことを、しかしガールフレンドとは思わなかった。親友とか、そういうものだと思っていた。

 彼の旅の間、彼女も旅することになった。「どっかで会ったりもするかもな」なんて言葉を交わして、別れた。
 
 恋愛感情に気づいたのは、彼に新たな友人、コウキができてからだった。
 彼は、誠実そうな少年で、ヒカリと話している姿がとても楽しげだった。

 その時、なぜかもどかしい感情を抱いてしまった。
 「何でヒカリが男と話すとこんなにむかむかしてくるんだ?あいつが女と話しても、別に何とも思わないのに」

 そのあと、コウキと話すことがあっても、何かもやもやしてしまい、長く話せなかった。

 ある日、彼に言われて、やっと自分の気持ちがわかった。
 「あの子のこと、好きなんでしょ」

 「なんだよコウキ、からかってんのか」
 「まさか、からかいでこんなこと言うわけないでしょ。それに安心してもらいたいけど、別に僕は彼女に恋をしているわけじゃない。確かにあの子はかわいいけど、僕には他に好きな子がいるから」
 「!」

 それから、やっと彼とは普通に話せるようになった。

 彼の報告がなければ、彼は向かうことができなかった。

 「なんだって…あいつが、ギンガ団に!?」

 じっとしていられなかった。単身ギンガトバリビルに乗り込む。次々とギンガ団の下っ端が来るが、今のジュンには相手にならなかった。

 目の前のドアを開けると、壁際に、手錠と足枷をされて動けなくなっている幼馴染の姿があった。

 「ヒカリ!」
 「ジュン…くん…何でここに」
 「話は後だ」

 彼はさっそく手錠を解いてあげようとした。しかし、鍵のようなものは見つからない。焼き切ることも可能だが、彼女がやけどを負う可能性もある。