【完全読み切り】拐
「俺は…こんなに無力なのか?」
そう思って、愕然とする。
幼馴染が、連れ去られた。
#
彼女のかわいさはフタバ一だった。少なくとも彼はそう思っていた。
周りの友人によくからかわれた。
「おや、ジュンくん、また彼女とお出かけっすか?」
「黙れお前、俺をなめんなよ」
「ヒュー、怖い怖い」
ただし、どんなに馬鹿にされても、彼女と外に出るということはやめなかった。彼女以外のやつらと出かける時より、気の置けない中になっていたのだった。彼女のことを、しかしガールフレンドとは思わなかった。親友とか、そういうものだと思っていた。
彼の旅の間、彼女も旅することになった。「どっかで会ったりもするかもな」なんて言葉を交わして、別れた。
恋愛感情に気づいたのは、彼に新たな友人、コウキができてからだった。
彼は、誠実そうな少年で、ヒカリと話している姿がとても楽しげだった。
その時、なぜかもどかしい感情を抱いてしまった。
「何でヒカリが男と話すとこんなにむかむかしてくるんだ?あいつが女と話しても、別に何とも思わないのに」
そのあと、コウキと話すことがあっても、何かもやもやしてしまい、長く話せなかった。
ある日、彼に言われて、やっと自分の気持ちがわかった。
「あの子のこと、好きなんでしょ」
「なんだよコウキ、からかってんのか」
「まさか、からかいでこんなこと言うわけないでしょ。それに安心してもらいたいけど、別に僕は彼女に恋をしているわけじゃない。確かにあの子はかわいいけど、僕には他に好きな子がいるから」
「!」
それから、やっと彼とは普通に話せるようになった。
彼の報告がなければ、彼は向かうことができなかった。
「なんだって…あいつが、ギンガ団に!?」
じっとしていられなかった。単身ギンガトバリビルに乗り込む。次々とギンガ団の下っ端が来るが、今のジュンには相手にならなかった。
目の前のドアを開けると、壁際に、手錠と足枷をされて動けなくなっている幼馴染の姿があった。
「ヒカリ!」
「ジュン…くん…何でここに」
「話は後だ」
彼はさっそく手錠を解いてあげようとした。しかし、鍵のようなものは見つからない。焼き切ることも可能だが、彼女がやけどを負う可能性もある。
そう思って、愕然とする。
幼馴染が、連れ去られた。
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彼女のかわいさはフタバ一だった。少なくとも彼はそう思っていた。
周りの友人によくからかわれた。
「おや、ジュンくん、また彼女とお出かけっすか?」
「黙れお前、俺をなめんなよ」
「ヒュー、怖い怖い」
ただし、どんなに馬鹿にされても、彼女と外に出るということはやめなかった。彼女以外のやつらと出かける時より、気の置けない中になっていたのだった。彼女のことを、しかしガールフレンドとは思わなかった。親友とか、そういうものだと思っていた。
彼の旅の間、彼女も旅することになった。「どっかで会ったりもするかもな」なんて言葉を交わして、別れた。
恋愛感情に気づいたのは、彼に新たな友人、コウキができてからだった。
彼は、誠実そうな少年で、ヒカリと話している姿がとても楽しげだった。
その時、なぜかもどかしい感情を抱いてしまった。
「何でヒカリが男と話すとこんなにむかむかしてくるんだ?あいつが女と話しても、別に何とも思わないのに」
そのあと、コウキと話すことがあっても、何かもやもやしてしまい、長く話せなかった。
ある日、彼に言われて、やっと自分の気持ちがわかった。
「あの子のこと、好きなんでしょ」
「なんだよコウキ、からかってんのか」
「まさか、からかいでこんなこと言うわけないでしょ。それに安心してもらいたいけど、別に僕は彼女に恋をしているわけじゃない。確かにあの子はかわいいけど、僕には他に好きな子がいるから」
「!」
それから、やっと彼とは普通に話せるようになった。
彼の報告がなければ、彼は向かうことができなかった。
「なんだって…あいつが、ギンガ団に!?」
じっとしていられなかった。単身ギンガトバリビルに乗り込む。次々とギンガ団の下っ端が来るが、今のジュンには相手にならなかった。
目の前のドアを開けると、壁際に、手錠と足枷をされて動けなくなっている幼馴染の姿があった。
「ヒカリ!」
「ジュン…くん…何でここに」
「話は後だ」
彼はさっそく手錠を解いてあげようとした。しかし、鍵のようなものは見つからない。焼き切ることも可能だが、彼女がやけどを負う可能性もある。