二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

リオ・ナユ

INDEX|46ページ/65ページ|

次のページ前のページ
 

会見…ティント編



竜口の村ではコウユウが知り合いらしい番兵をうまく退けてくれたのですんなりと山道にたどりついた。
このまま虎口の村というところまで向かっていると、コウユウの兄弟分であるキジムという男とその部下に出会った。
どうやら彼らのアジトは落とされて、山道にかかる橋を燃やして落としながら逃げてきたらしい。
そしてその間にもう一人の兄弟分のロウエンが行方不明になってしまったようであった。

「ロウエンのアネキ・・・大丈夫かな。」
「まあロウエンだしな、なんとかなるだろう。」

コウユウの心配を取り払うようにキジムは笑いながら言ってはいたが、やはり彼も心配そうであった。
このままティント市に協力を申し入れる為にナユ達は先を進んだ。

ティント市は今まで唯一同盟軍への援助を拒否してきた市である。
鉱山の街のようで、いたるところに採掘道具が置かれてあり、その辺を歩いている男達もみなごつい男ばかりであった。
会見を申し出て受け入れてくれた市長もそんな男の一人であり、協力を申し出たナユに対してぶっきらぼうに扱った。

「お前さんが同盟軍の軍主だと?こんなほっそい腕して、このティントじゃあお前さんくらいの年ならその倍は太い腕を持っとるぞ。」

その言葉にナユはピク、となったがこらえた。

「だいたい・・・なんなんだ?その姿は?ふざけとるのか?」

腐れ縁の2人やシーナは内心確かにそう思われても仕方ないな・・・とナユを盗み見た。

だって猫耳にしっぽだし。

ていうかシュウも、よくこの格好のままのナユを黙って送り出したものだ、とあらためて3人はしみじみ思っていた。

まだ続けようとした市長、グスタフはその時後ろの方にいる頭にバンダナを巻いた少年からの視線を感じた。
その時に過った感情はまさに恐怖。
同じく華奢なその少年はうすら笑いをするかのような表情でグスタフを見ていただけなのに。
グスタフは咳払いをして、口を開いたナユの話をあらためてきちんと聞いた。
そして見た目がどうかと思った同盟軍の軍主の話を聞いているうちにバカにしていた気持ちはなくなっていった。
そしてだんだんとナユにたいして真摯な態度となり、最終的にはグスタフのほうから同盟軍に協力を要請してきた。こうしてティントの武力も同盟軍は約束された。

その後グスタフの片腕らしいマルロという青年が皆を部屋に案内してくれた。

「ナユさんはすごいですね・・・。まさにお話の中のヒーローみたいだ。」

虚弱そうなマルロはあきらかに見た目はマルロよりも華奢で(しかも猫耳だし)小さなナユを本気でうらやむように言っていた。

「とりあえず疲れたな。今日はゆっくり休もうぜ。」

ビクトールが言った。

「そうだね、僕も疲れた。僕はひとりで寝かせてもらうよ?ああ、これも一応軍主様だしね?疲れをとってもらわないと話にならないから一人で寝かせる。お前らはすし詰めで寝るといいよ。」

そうめちゃくちゃな事を言い放つと、リオはナユの手をもち、ナユが反応する前に近くの部屋に押し込んだ。
そしてナナミに、あっちの部屋を使うといい、と言うと唖然としてる腐れ縁やシーナを無視して自分も小さめの部屋に入っていった。
ナユはてっきりリオが一緒の部屋かと思っていただけにしばらくは一人で茫然と立っていた。
しかし最近体力が落ちているのか、旅の疲れがかなりきているのは確かで、ふらふらとベッドに移動すると、そのままばったりと倒れ込み、死んだようにぐっすりと眠りこけた。

そうして気づけば朝になっていた。
起きて皆のところに行くと、どうやらりドリーとクラウスも到着したらしいと聞き、グスタフの部屋に行く事にした。
リオは寝ているのかそれともどこかにフラリと行ったのか、姿はまた見えなかった。
部屋で話をしていると、グスタフの娘とは思えない可愛らしい小さな女の子が部屋に入ってきた。

「お父さん!!みながね、化け物がきたって!!こわいお化けみたいのが来たっていってるよ!!」

慌てて皆で街の入り口まで来てみると、やはりそこにはゾンビを率いたネクロードがいた。

「おはよう、ティント市の諸君。おはよう、グスタフ殿、おはよう、・・・みなさん。」

ちらりとナユ達を見てからネクロードは、ここ、ティント市を占領することを言い残しその場を退散していった。
自分の国が欲しいだのお嫁さんが欲しいだの、死ねばいいのに、とナユは呆れた様子を隠しもせずに思っていた。

「やっぱり奴が!!」

ただビクトールが憎々しげにつぶやいているのをナユは聞いた。
とりあえず対策を練るしかない、とまたグスタフの家に戻る。
やはりリオはいないままか、とナユが思っていると知った顔が入ってきた。

「市長、先ほどの・・・っお前は!!」

入ってきたのはミューズ市で副市長をしていたジェスと総指揮官をしていたハウザーであった。
グスタフに話しかけながら、ジェスはナユに気づき、顔色を変えた。

(・・・まだ疑ってるんだ・・・)

そうナユが思ったとおり、ジェスはナユに詰め寄った。
「なんでお前がこんなとこに!?くそっ。こいつが・・・こいつこそがアナベル様をその手にかけたんだ!!!ふざけた格好して、いったい何をしてる!?」

それに対して憤慨して反論しようとするナナミや、ジェスにナユがアナベルを殺す訳がないと言い聞かせようとするビクトール達をしり目に、実際に詰め寄られているナユは遠い目をしつつ、まさにふざけた格好だよ、まったくほんとに僕は何をしてるんだろう・・・、それにしてもここにリオがいなくてほんとうに良かった・・・とひそかに思っていた。
作品名:リオ・ナユ 作家名:かなみ