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月がみてる

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月がみてる


最初に感じたのは微かな違和感。そして遠ざかる感じ…
「う〜ん…これは。」
逃げたな。いつかやるんじゃないかとは思ってたけど。

数分後に緊急用の電話が鳴り響いた。
「はい。」
「逃げられました…。」

あ、やっぱり。

「出来るだけ早く帰ってきてください。対応策はそれから。」
「はい。」

現場にいた彼女がどう誤魔化したのか聞かないとわからないけど、正直その場にいなくて良かった…。


あ〜!もう。信じられない。怒りでどんどん足が速くなる。
執務室につく頃にはドアを蹴破りそうな勢いになってしまった。深呼吸して一旦止まってドアを解除する。
鍵かけたままとんずらするな!とか思うと閉めるときに力が入ってしまった。大きい音がして自分の耳も痛い。


叩きつけるようにドアを閉める。う〜ん、無理も無いけどかなり怒ってるな。
怒ってる人がいると返ってこちらが冷静になる。もともと怒るより呆れてたので。

「お疲れ様。ちょっと待っててください。」
何か香りの良いものをよいものを入れよう。

投げやりにソファに身を投げる。怒りすぎて言葉が出ないようだ。

コーヒーを置いて向かいにPCをもって座る。
「何があったんです?」
額を押さえながら
「今日が新しいMSの試乗なのは知っていますよね?」

「それは勿論。どうしても乗りたいと言うから無理して都合つけたんですから…。じゃそのまんま乗って行ったんですか…。」
捻りの無い…。

「そう。皆が見ている前で加速してあっという間に見えなくなりました。その後何分たっても戻ってこなくて…。」
怒りに震えてます。
「もう!あんな恥ずかしい思いしたの初めてです。予定が変わったんだとごまかしましたが…。」
皆さん迫力負けしたんだな。

「お疲れ様です。」
「ほんと〜に疲れました。腹立ちすぎて眩暈がします。」
アイスノン持って来よう。ついでにコーヒーのお代わりも。

「それで足取りは?」
「近くの基地に降りてからシャトルで出ました。その後はまだ。」
「やっぱり、外へ出ましたか…。」
じろっと思い切り睨まれた。

「何か心当たりがあるんですね。」
間にテーブルが無ければ襟首つかまれそう。
「ここ一年真面目に仕事してきたからそろそろ飽きたんじゃないかな…。」

じとーっと見られる。きりきり白状しろと目で言ってる…。聞くともっと怒ると思うけど…。

「俺に飽きたんじゃないかな。」

ばん!テーブルを叩く音が響き渡る。

「アムロ大尉。わたしの忍耐力を試したいなら今日はもう限界です。
大佐があなたに飽きたのなら鍵はかけないで出かけるでしょうしそのネックレスも外すでしょう。
それをしている限り何処にいるかすぐわかるんですから。素直に話してください。」
毎日べたべたしているくせに何言う。


「聞くともっと怒るよ。」
血管切れるかも
「わからないより良いです。」

「数日前に口論になって…。」
「珍しくも無いでしょう?」
「まあ、そうなんだけど。家庭だの家族だのが欲しいなら結婚した方が良いと言ったんだ。」
あ。また頭抱えてる。


「またなんでそんな話になるんです…。」
「え〜と。確か…安らぎが欲しいだの何だの言われて。
そんな場が欲しいなら嫁をもらって家庭を築いた方が良いんじゃないかと。」

「それで。大佐はなんと?」
「いや。何も言わなかったな。」

それはショックで口が聞けなかったんでしょう…。
「それから?」

「ここ2・3日触れてこないから飽きたのかなと思ってたんだけど。」

かわいそうに…。自業自得と言えばそうなんでしょうが…。
「いじめっ子ですかあなたは…。」


「え?そうかな?思ったこと言っただけだが?」
「少しは考えてもの言ってください。」
「考えたら何も出てこなくなるんですが。だんまりで通した方が良いかな?」
「…だから考えてください…。子供じゃないんですから。」

PC抱えてにつこり笑う。
「善処しましょう。」

「結構性格悪いんですね。」
「大丈夫。相手選んでるから。」
選ばれたくないです…。あ〜もう。牛かわたしは!

「で!どうするんですか?」
「ほっとけば?」
このやろ〜!PC取りあげて指差す。

「迎えに行きなさい!連れて帰ってくるまでこのPCは預かります。」
情けなさそうな顔して「え〜。」
もしかして本気でPCのほうが大事なんじゃないでしょうね?


その後の足取りは地球に降りたらしいと言うところで途絶えてしまった。
「さすが気配消すの慣れてるな。あんなに目立つのに足取りつかめないなんて。」
「何処へ行ったんでしょうね。帰って来る気あるんでしょうか?」

「見当つかないわけじゃないけど…。そこに居ないとなると帰って来る気が無いかもしれない。」
「ブライト艦長のところですか?今は艦をおろされて地上勤務についているそうですが。」
「これ以上迷惑かけられないから俺は近づけないし。つてを頼って聞いてみるけど。」

「ともかく行ってみてください。居ないときはまた考えましょう。」
「その前にこれ外さないと宙港に近づけないよ。」
と、ネックレスを引っ張る。付けたままで一人で動くとセキュリティに引っかかる。外し方知らないし。外すと煩いし。面倒。

「それですか。外すよりセキュリティの設定変えるほうが簡単のようですので今やらせています。
出かける準備をしてください。」
「では遠慮なく。」

にっこり笑っている。怪しい。

「念のために言っておきますが。このまま逃げたら末代まで祟りますから。」


いや子孫がいなければ末代も無いんじゃないかな…

「単純に一人で動けるのが楽しみなだけで、他意はありません。」
「にこにこして丁寧に言われると凄く胡散臭いです。」
自分でもそう思う。


「じゃ誰か付ける?見張りが居ても俺は気にしないよ。」
「付けたいのは山々なのですが、一人でうろついてくれたほうが出てくると思います。」
「逃げられるのが心配でかい?」

「多分…」
「それじゃ困るんだけどな…。」
「一朝一夕で変わるものではありませんわ。気長に行きませんと。」

「まあ。確かに…。俺が信用無いだけの話しだし。」
それなのにそばに置きたがるのは気が知れないな。
「信用無いのとは違うと思いますが。」

そうかな?
「それより本当に一人で動いて良いのかい?当分戻れそうに無いぞ。」


「そうですね…。オプションつける事にします。」
「オプション?」
「こちらも秘密裏にブライト艦長に連絡とってみて伝言をたのみます。
アムロ大尉が大佐を探すにより先に捕まえたら休暇をとって良いです。ってことに。」

「…事実上休暇取ってるようなものだが期限を区切ると言うことか。
けどこっちが地球に降りる前に捕まりそうな気がするぞ。不公平じゃないか?」

「では地球に着いてから伝えるようにします。」
「じゃっ捕まえにこなかったらお役御免って事で良いならやるよ。」
「…この際餌は大きい方が良いかもしれませんね。」
「支度するよ。」

部屋を出る後姿が何か楽しげ。御守に飽きたのかしら。
それも無責任だと思うんだけどこれ以上関わらない方が懸命?ようは痴話げんかだし。
作品名:月がみてる 作家名:ぼの