どうしようもない阿呆だとお互いに認識
「っつぅか門田、結局その怪我はどうしたんだ?」
俺が例のアレを始末して新羅に治療してもらってると、静雄が冷凍庫から勝手に拝借したと思われる棒つきアイスの袋を破りつつ尋ねてきた。臨也がそこから一つを見事な手つきでするりとくすね、割るタイプのものだったらしくぱきりと割る。唐突の質問に少しだけ戸惑いながらも俺は答えた。
「あぁ。臨也から電話かかってきたときに、取り込み中だっていっただろ」
ぴたり、とこちらに割った片方のソーダアイスを渡そうとしていた臨也が動きを止めた。
「……もしかして、そのときに、とか」
「……別に違うから、そんな顔すんな」
「別にどんな顔もしてないけど?」
すまし顔の奴の手から礼をいってアイスを受け取り、俺は少し前の記憶に思いを馳せる。
「あー、そうだな。……あの時お前らが尋常じゃないほどパニくってたから俺も驚いてな、その間にそれまで最後の一人だったのが俺が先にのした奴らが次々と立ち上がってきてよ。電話切ってくれるまで待っててくれたんだが、それは有難いがこっちは急いでんだっつってぶっ飛ばしてきた」
「へぇー。にしてもこれ結構酷いよ?よくこんなとこまでこれたね?」
新羅が感嘆の声をあげながら消毒する。そのしみるような痛みから逃げるように俺は答えた。
「なんというか……俺も結構必死でな。その一度目の喧嘩の時も結構傷はついてたんだが、二度目のときはあんまり意識がないんだ。
とりあえずお前らがいてそうなのはココだろうって検討つけて、それで電話して、……そこであれだろ?痛いとかあんまなかったな。あぁ、でもなんかすれ違う奴らが皆すげぇ目つきで見てくるなとは思ったが」
新羅がきょろりと目を丸くして、アイスを割る力加減に苦労していた静雄が目を見開いて、そしてアイスをなめていた臨也が目を細めて、こちらを見た。
「……ドタチンって、結構馬鹿だよね」
「そうだねぇ」
「あぁ、そうだな」
「ちょっとまてどういう意味だ、それにお前らには言われたくない」
[ どうしようもない阿呆だとお互いに認識 ]
「でも、ごめん」
「……すまねぇ」
「今度から気をつけるよ」
「……まぁ、わかればいいんだよ」
作品名:どうしようもない阿呆だとお互いに認識 作家名:草葉恭狸